幼い頃の私は画家になりたいと思っていましたが、それはかないません でした。長じて心理カウンセラーになった私はあるとき、アートは人を癒 やすことができると気づいたのです。それは、子どもの頃に抱いていたアー トへの夢と、メンタルヘルスの専門家としての人生が結びついた瞬間でした。
子どもや若者はいろいろなことに憧れ、何か大きなことをつくり出した いと思うものです。私の住むエチオピアは美しい国ですが、自分たちの夢 を語ったり、自分自身を表現する場を十分に持たない子どもたちの姿を見 てきました。子どもたちがやってきては、こうしたことを思いっきりでき る安全な場所をつくる。そのために自分には何ができるだろう? あらゆ る形式のアートを使って、みんな自分の考えを自由に表し、自らを癒し、 目標に向かって前進する世界を私は夢見るようになりました。
その後、Solgit という国際的なサーカス・アーティストと出会い、2016 年にエチオピアで SunEko Art for Social Development という団体をつく りました。私たちは社会性の成長を助けるツールとして「ソーシャル・サーカス」を実践しています。音楽やダンス、演劇、スポーツなど、子どもや 若者の関心を引くものが含まれています。プログラムの参加者はコミュニ ケーション力、ウェルビーイング、学業、創造力、体力や行動パターンといった点でより良い変化を示してきました。
6 年前、私たちは小さなアートセンターから始まりました。そして今では、子どもや若者のために「アートによる癒し」を提供する、東アフリカ最大 のオープンスペースをつくるべく奔走しています。誰でも訪れることがで きて、何かをつくり出し、力を伸ばしていけるような場所。子どもや若者 が利用しやすく、創造性に富んだ空間を提供し、彼らにとって最適で、実りの多い方法での成長・発達を目的としたサービスを提供します。
アートは強力な言語であり、夢とつながり、自分自身を表現するツール だと強く信じています。アートを直接的・間接的に使って、子どもが年長 者から学んだり、年長者が子どもから学ぶ。そんな調和と思いやりに満ちた世界の実現が、私の夢です。