お腹いっぱいで幸せに眠れる世界

空腹のまま眠って、そのまま亡くなってしまう。そんな人が世界からい なくなることが私の夢です。

2000年代のガーナでは飢き 饉きんも戦争もなく経済が成長していました。し かし、飢餓がはびこり続け、人々の命を奪っていました。親が子を失い、 子が親を失いました。ソガコペという町に住んでいた私にも、何日もご飯が食べられなかったり、飢えや栄養失調で亡くなったり、生きていくため に危険を冒し、苦しい生活から抜け出せない友達がいました。2015 年、ガー ナの飢餓人口は半減し、ミレニアム開発目標(MDGs)ターゲット 1.C※ 8 を達成しました。しかし、いまだ人口の5%が慢性的な飢餓に陥っていま す。※9 1人の若者でしかない私は無力で、政府だけが変化をもたらす力を 持っていると思い込んでいました。

そんな考え方を変えたのは、22歳のときに参加したBarcamp Ghanaと いうプログラム。私と同じように感じていた参加者もいたのですが、プロ グラムの司会者からこう問われたのです。「課題解決を政府に任せきりに してしまうなら、社会のなかでのあなたたちの役割は何ですか?」と。私 たち若者が立ち上がらなければと思いました。

そこで、私は友人とともに、Amaba Health and Humanitarian Aid (H&H) Volunteers Ghana という N P O を立ち上げようと決めました。路上生活をしている貧しい移民のお年寄りや子どもたちに食事を提供するためです。 しかし、世界から飢餓をなくすという夢を実現するには、もっと何かしな ければなりません。

現在、私はグローバルな視点とスキルを身につけるべく、カナダの大学 院で経済学を学んでいます。カナダは多様な文化を持つ国。ここでは国 際的なネットワークをつくり、意見を交換することができます。私の専 攻は国際貿易。自由貿易こそが世界の貧困層で生きる人々に手頃で栄養のある食べ物を与えられると考えています。私の長期的な目標は、幅広い経 済知識を、ガーナやアフリカの国際貿易政策の要となる人たちに提供することです。 飢餓で亡くなった友達は、可能性を最大限に発揮することができませんでした。彼らは、この国の「失われた可能性」です。もうこれ以上、私の 友達のような悲劇を繰り返してはいけない。私の夢は世界の繁栄であり、人々が家族とともに栄養のある食事ができることです。その世界では、お 腹を空かせたまま眠り、命を落とす人は誰もいません。

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