【Dream Updates】変化のレシピに必要なのは、決断と行動する意思だけⅡ

こちらはアリッサーさんのDream Updatesの後編です!

(前編を見逃した方は、こちらからお読みいただけます)

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変化をもたらす喜びと困難

これまでさまざまなボランティアや活動に取り組み、大きな貢献をされてきましたが、人権活動家や教育者としての活動で最も魅力を感じるのはどんな点ですか?

私にとって一番大切なのは「人」です。ボランティアやプロジェクトなど、すべての機会が新しいコミュニティや多様な背景を持つ人々との出会いにつながります。私にとって、それぞれがどのように異なる生活を送っているのか、そして日々の困難にどう立ち向かっているのかを知ることは、本当に興味深いです。これらの経験は、自分の視野を広げ、世界をより大きく捉えられるようにしてくれます。また、自分がどれだけ恵まれているかを改めて感じますし、そのような強くたくましい人々と一緒に働けることに感謝しています。そして、自分の時間や知識、スキルを活かして少しでも力になれることが幸せです。

特に感動するのは、彼らの強さと希望の持ち続け方です。難民や恵まれない状況にいる人々、それぞれが困難を抱えながらも私にインスピレーションを与え、より多くのことに取り組み貢献したいという気持ちを強めてくれます。

人と出会うことが好きだったのは、昔からですか?それとも、ある時期からその興味が芽生えたのですか?

 人を助けたい、社会に貢献したいという思いは昔からありましたが、徐々に深まっていきました。15歳の時にボランティア活動に本格的に参加し始めたんです。最初の大きな経験はレバノン赤十字での活動でした。そこで多くの人道支援の分野で働く人々に出会い、新しい機会やNGO、社会活動に専念する人たちを知りました。これが私の意識を広げ、さらに活動に参加したいと思うきっかけになりました。

同時に、地域のクラブでボランティア活動も行い、チャリティーイベントの企画や高齢者施設、孤児院の訪問、冬季の衣類や食料寄付のための募金活動に携わりました。これらの経験を同時期に積み重ねることで、若い頃から大きな影響を受けました。その影響は年齢を重ねるごとにさらに深まっていきました。

一方で、活動の中で最も困難だと感じるのはどのような点ですか?

 活動家や人道支援の仕事において、最も大きな課題の一つは、適切な目的やプロジェクトを見つけることです。しかし、それ以上に難しいのは、それらのプロジェクトをいかに効果的に実行する方法を見つけることです。特に資源が限られている場合、良いアイデアや情熱的な人々、優れた組織があっても、資源が不足しているとその影響は限られます。ニーズが大きいのに、できることが限られているのを見るのは本当に辛いですね。私たちは持てるものを最大限に活用していますが、資源の確保は常に課題です。

資源面での課題について、具体的にはどのような点が最も問題となるのでしょうか?

レバノンでは、主に資金面が最も大きな課題の一つです。ただ、レバノンには強いボランティア文化があるのが素晴らしいところです。支援が必要な時は、友人や親戚、学校の知り合いに声をかけると、多くの人が力を貸してくれます。多くの組織はこうしたボランティアのネットワークに大きく依存しており、スタッフに給料を払う余裕がない場合でも成り立っています。しかし、専門的なスキルが必要な場合は、そのスキルを持つ人材を見つけるのが難しいこともあります。幸い、レバノンにはリソースや知識を共有する組織のネットワークがあり、これらのギャップを埋める手助けをしています。

素晴らしい文化ですね!危機的な状況のとき、地域の人々はどのように対応するのでしょうか?

地域の人々の対応力には本当に驚かされます。例えば、2020年8月のベイルート港爆発事故の際には、被害が非常に大きかったにもかかわらず、人々はすぐに行動を起こしました。誰かが呼びかけたわけではなく、それぞれがほうきや手袋、袋を持って街に出て、掃除をしたり、支援を必要としている人たちを助けたりしていました。これは自発的で、みんなで協力し合う集団的な対応でした。これこそが、地域福祉や人道支援の本質だと思います。つまり、お互いを助け合うために、コミュニティが一つになり行動することですね。

次のステップへ:もっと大きな影響を与えるために

これまで様々なプロジェクトに参加してきて、今はニューヨークで修士課程を学んでいるとのことですが、なぜ修士課程に進む決断をしたのでしょうか?

学士号を取得後、私はレバノンの国連で働き始めました。そこで2年間、国連開発計画(UNDP)で勤務し、その経験を通じて多くの才能ある人々が実際に影響を与えているのを見ました。この経験が、さらに専門的な知識を深めるために修士課程に進みたいという大きなモチベーションとなったのです。

その1年目が終わる頃に奨学金を探し始め、Fulbright奨学金に応募しました。長い選考プロセスを経て、無事に合格し、現在ニューヨークで学んでいます。2年後には修士課程を修了し、レバノンに戻る予定です。

国連で働いていた経験についてもっと教えていただけますか?

はい、国連での仕事は直接現場での活動ではなく、オフィスでの業務でした。最も面白かったのは、複数の分野に跨る業務を担当した点です。これにより調達、財務、行政、人事など、ほぼ全ての分野を少しずつ学びました。この多様な経験が自分の知識と経験を広げることに繋がりました。

特に印象的だったのは、レバノンや海外で行われた会議の企画運営です。政府の大臣や高官が出席するイベントの準備にも携わり、重要なテーマを扱う会議をいくつも運営しました。私が関わった会議の多くはレバノンやヨルダンで行われました。また、さまざまなプロジェクトや研究、Youth Leadership Program (YLP)にも参加しました。

YLPについても触れましたが、そのプログラムでの経験についてもう少し詳しく教えてください。

このプログラムは毎年開催され、若い活動家やリーダーの新たなグループを招き、彼らのアイデアを育成し、サポートすることを目的としています。これまでの年々、参加者たちはネットワークを広げ、つながり、協力し合い、さまざまな活動や機会を通じて成長してきました。私もそのプログラムに参加し、チームとの深い関係を築きながら、積極的にプロジェクトに参加しました。そして、イベントや会議、能力開発トレーニング、その他の影響力のあるプログラムにも参加する機会がありました。特に、若者との関わりは非常に刺激的で、興味深い経験でした。

国連での経験を通して、多様なバックグラウンドや視点を学ぶことができたのですね!

 はい、さまざまな分野での業務を通じて、多角的に学ぶことができました。自分の経験は一つの分野に限定されることなく、非常に有益でした。特に、国際的な手続きや規則を学んだことは貴重な経験で、これらは今後どんな職務においても役立つものです。

その経験が、修士課程に進むきっかけとなったのですね。

その通りです。以前から修士課程を学びたいと思っていましたが、国連での経験を通じて、その重要性を実感しました。実際の専門的な場面で高等教育がどれほど意味を持つかを知り、深い知識を持つ専門家と一緒に働くことで、その知識を現実世界で活かす方法を学びました。彼らは私にとってロールモデルとなり、より深い専門性を身につけて、より大きな影響を与えられるようになりたいという思いが強くなりました。

未来のビジョン:すべての子どもに教育を

次に、アリッサーさんの未来の展望についてお聞きしたいと思います。SDGsまであと5年ですが、世界中で質の高い教育へのアクセスは依然として大きな課題です。レバノンの現状について教えていただけますか?

残念ながら、レバノンの状況は非常に悪化しています。現在、約60万人の国内避難民がいますが、その多くは学校に通っていない子どもたちです。多くの学生が学業の中断を余儀なくされています。私立学校はなんとか運営を続けている一方で、公立教育システムは完全に停止しています。これまでの戦争や国全体の危機が、学生たちの学力の遅れを招いており、それは世界の他の国々の同年齢の子どもたちと比べても大きな差が生じています。

この遅れは今に始まったことではありません。過去5年間、レバノンはCOVID-19パンデミック、経済危機、社会的な暴動、ベイルート港爆発事故、燃料と電力の不足、そして現在の戦争といった数々の障害に直面してきました。それぞれの危機が教育の遅れを加速させ、今こそ教育の再建と支援に力を入れることがますます重要になっています。

アリッサーさんの今後の具体的な目標について教えてください。

修士課程を終えたら、レバノンに戻り、意味のある変化をもたらすために尽力します。地元の自治体との強い関係があり、これまでいくつかのプロジェクトで協力してきました。たとえば、先ほどお話しした町の公共図書館で行われるプログラムなどです。これらの関係を活かして、影響力のあるプロジェクトを立ち上げるつもりです。

私の重要な目標の一つは、「Aflatoun」プログラムを拡大することです。これは学校のカリキュラムを補完するもので、SDGsや世界的な問題について学ぶことは、今の子どもたちにとって非常に大切です。私のビジョンは、このプログラムを全国規模で実施し、最終的には公式のカリキュラムに組み込まれるようにすることです。

修士号を取得した後、レバノンに戻り、さらに大きな影響を与えるために活動されるのですね。では、今後数年、あるいは数十年後、世界はどうなっていることを期待していますか?

率直に言えば、『もっと平和な世界』を心から願っています。戦争がなくなる未来を見たいですね。すべての子どもたちが基本的な権利を享受し、質の高い教育を受ける世界を望んでいます。今、世界中にはその権利を奪われている子どもたちがたくさんいますが、その状況はどんどん悪化しています。

また、政府が実際に教育のカリキュラムを改革し、今日の世界に必要な新しい概念や技術を取り入れることを期待しています。教育はもちろん、効率的なシステムを構築し、すべての子どもが教育を受けられるようにするために学校のインフラを改善することも重要です。どこに住んでいても、すべての子どもに教育の機会を提供する社会を目指したいです。

ありがとうございました。最後に、より良い社会を作りたいという夢を持つアリッサーさんから、同じような影響を与えたいと考えている人々や、夢を追い続ける人々へのメッセージをいただけますか?

私からのメッセージはシンプルです。誰でもポジティブな変化を生み出すことができるということ。必要なのはただ一つの決断と、それを実行しようとする強い意志だけです。それだけで、何も特別なものは必要ありません。誰かのために何かをしようという意志があれば、それがすべてです。

それは誰にとっても力強いメッセージですね。再びお話を伺い、素晴らしいご経験をシェアしていただき、ありがとうございます!


Alissarさんがこれからも活動を続ける中で、彼女のストーリーは私たちに、誰でもシンプルな決断と行動する意志さえあれば違いを生み出せることを思い出させてくれます。質の高い教育と平和がすべての子どもたちに届く世界という彼女の夢は、どんなに大きな困難に直面しても前に進む力となっています。

「あなたは今日、ポジティブな変化をもたらすためにどんな決断をしますか?」

(One World on One Web – Do you want to share your dream to the WORLD? )

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