幼い頃、「彼女は人生をバラ色の眼鏡で見ている」という言葉をよく耳 にしました。当時はその言葉がポジティブな意味なのか、ネガティブな 意味なのか、よく分からなかったけれど、その言葉を聞いてから私の世 界観は大きく変わりました。
私が家で安心して過ごしているように、すべての女の子が同じように恵まれているわけではない。この現実を知ったのは、16 歳のとき。その夏、 私と同世代の 3 人の姉妹が、虐待を繰り返す父親を殺害するという悲劇 的な事件がメディアを騒がせていました。これによって、私の国、そして世界中の女の子や女性が直面している問題の大きさを理解することがで きました。その後、私は、ロシアにおける D V 対策法案の採択に貢献しよ うと決意しました。性差別と闘うフェミニズム運動についてもっと知りた いと思い、社会におけるフェミニズム運動のルーツを歴史から研究し始め、地元の学校の科学会議で発表しました。 研究によって理論的な知識は得られたものの、自分の行動が現実の世界を変えられるのか、まだ自信はありませんでした。私には行動するた めの助けが必要だったんです。
そんなときに出会ったのが、Women Deliver という国際的な団体。女 の子や女性の健康と権利を擁護しています。この団体の Young Leaders プログラムへの参加が認められた私は、情熱を持って主張をするさまざま な人々が集まるコミュニティに加わりました。ここで学んだ一番大切なこ とは、「たとえ周囲の人に信じてもらえなくても、自分を決して疑わない」 ということ。私が行動することにためらいを抱いていたのは、まわりの人 たちから否定されたり、心ないことを言われるのが怖かったからだって 気づいたんです。でも、私はここでの活動とメンバーたちの情熱から、 自分の夢に向かって前に進む勇気をもらいました。
今振り返ると「バラ色の眼鏡」で見るとは、夢を見ることと同じだと思 うんです。でも、それはただ夢を見ているだけじゃなくて、世界を変える んだっていう内なる自信を持って夢を見るということ。私の夢は、すべての女の子と女性が社会のなかで守られ、助けられていると感じ、意見にしっ かり耳を傾けてもらえる世界をつくることです。「甘い」と言う人もいるかもしれません。でも、私は今、誇りをもって「バラ色の眼鏡」をかけて いるのです。