僕はデンマークで生まれ育ったことを非常に幸運に思っています。こ の国では、貧富の差が比較的小さく、教育や医療が完全に無料で受けられ、 共感や平等といった価値観が重要視されています。
けれど、自分がいかに幸運かに気づいたのは、ロンドンで勉強し始めた 2016年のことでした。キャンパスを見渡すと、たしかに頭の良い人たちが大勢いましたが、ごくわずかの例外を除いて、みんな経済的に恵まれ た人たちに共通する特徴を持っていたのです。イギリスの学生も留学生も です。一般的に優秀な大学で学ぶようなチャンスは幸運な少数の人たちに 限られていると気づき、現実の不公平さに愕が く 然ぜ ん としました。才能ある人材が無駄になっている。これは何とかしなければと決めました。
学習能力は誰にでも平等に与えられていると信じていますが、質の高い 教育を受けるチャンスは平等ではない。そこで僕は素晴らしい学友に仲 間入りし、Project Access International を共同設立しました。これは世界のトップ大学に入学するチャンスの平等を目指す、慈善的なスタートアッ プです。中核を成すのは、仲間同士の強力なメンターシップ・プログラムで、 入学志望の学生を、憧れの大学の憧れの学科ですでに学んでいるメンター と引き合わせます。これまでに 3,500 人以上の恵まれない環境出身の優秀 な学生を支援してきました。僕らは、若者たちを壮大な夢に向かって突き動かすことができるロールモデルこそが最も必要だと信じているんです。
影響力を築いたことで評価を受けました。世界経済フォーラムの Global Shapers とビル & メリンダ・ゲイツ財団のゴールキーパーに選ばれたの です。それからずっと、心に決めています。このチャンスを善のための力として生かそうと。僕は信じ、そして夢見ています。バックグラウンドを 問わず、情熱と潜在能力によって若者が未来を決められる世界を実際につくり出せると。でも、それには行動が必要です。 幸いなことに、世界は一丸となって、より良い未来への進歩のために尽力してきました。
SDGs は強力なリソースとして、僕らが夢をかなえ る道のりを導いてくれるでしょう。しかし確かなのは、行動が必要で、目 標だけでは十分ではないということ。みなさんは自分で組織をつくる必 要はありませんが、ボランティアならできそうですね? 後輩の学生を 助けてあげられますよね? 今こそ僕らの時代です。これを読んでいる みなさんが刺激を得て、僕の仲間になって、ともに情熱と能力で未来を選べる世界を築いてくれることを夢見ています。