世界で一番きれいな国へ

私は子どもの頃からずっと、地域社会に良い影響を与えられる、力のあ る人になりたいと思ってきました。父が政治を担い、いつもまわりの人を 助けているのを見て育ったからです。「教育は君を優れた人間にし、成功 をもたらしてくれる」と父に言われたのを覚えています。そして、私はモロッコの大学で地球科学を学び、環境保護に夢中になっていきました。

大学卒業後は、気候変動と闘うモーリタニアの青年組織でボランティア 活動を始めました。私の国はサヘル地域にあります。干ばつや海面上昇、 都市化の進展、それに伴う生活環境の悪化といった脅威に強烈にさらさ れている地域です。なかでも生活環境の悪化は、環境についての知識不足や、ときには公衆衛生の最低限のルールを守らない住民の礼節のなさに よって引き起こされています。

地域社会に良い変化をもたらす若者の力を信じて、私は 2017年に、 Facebook や Twitter などのソーシャルメディアを使い、#Selfiembalite と いうハッシュタグでキャンペーンを始めました。“mbalite” は国の言葉で「ごみ」を意味し、モーリタニアの不衛生な状況について人々の意識を高 めることが目的でした。私は路上のごみの脇で自撮りをして、ネット上で 画像を公開したのです。すると 1 週間も経たないうちに、キャンペーンが拡散していきました。みんなが国内に散らばるごみのそばで自撮りをし、 ハッシュタグをつけて Facebook に投稿するようになったのです。この取 り組みのおかげで、モーリタニア当局はごみを管理する企業との契約を見 直し、新しい戦略をつくっています。また多くの若者が環境問題に関心を持つようになり、近所やビーチで清掃日を決めて、活動しています。

このことは、私が地域や国際的な舞台で環境活動家、気候変動活動家と してキャリアを推進するきっかけとなりました。私の目標は、若者や女性のための全国的なリーダーシップ・プログラムを立ち上げ、彼ら彼女らが 地域社会に良い影響を与えられるよう応援することです。私の国のすべて の若者が質の高い教育を受け、能力を最大限に発揮できることを夢見ています。そしてモーリタニアが、アフリカや世界のなかで、最もクリーンで最も環境意識の高い国になることを夢見ています。

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