一人ひとりの世界を変える

私はスポーツ、特にバスケットボールとテニスが大好きだ。セラピーと して、ときどき子どもたちをバスケットボールやテニスのコートに連れて 行った。彼らは家庭で問題に直面しているにもかかわらず、他人を信頼し ていないので、それを人と分かち合えない。そんな事態に対処できるようにするためだ。誰かに批判されることなく自分らしく振る舞える安全な空間をつくり出すことは、子どもたちにとってとりわけ心の健康に大切なこ とである。

私が心の健康を意識するようになったのは、12 歳のときのクラスメー トのおかげだ。彼女はダウン症で、よく学校でからかわれていた。それが 不当に思えて、何かにつけてかばっているうちに私たちは仲良くなり、彼女のことを深く理解するようになった。大学時代には地元の学校でボラン ティアの教師として働き、学習障がいのある子どもたちと出会った。彼ら はしばしば仲間外れにされ、「変な人」だと言われていた。でも、障がい を抱えた子どもたちは「変ではない」のだ。そのことを特に理解してほし いと思う。

大学で心理学士の学位を取得して卒業した後、自閉症のある子と、自閉 症と ADHD(注意欠如・多動症)の両方がある子の教育アドバイザーを 務め、社会生活や学習、身体面の発達支援を行った。また、スペシャルオリンピックスの委員としてバスケットのコーチも務め、障がいのある子も ない子もお互いの「違い」を受け入れることを目指し、それを達成してきた。

プレイセラピーやコーチングなどのさまざまなアプローチを用いたが、彼らに伝えたメッセージはただ一つ。自分ならではの、相手ならではの強みを楽しみながら見つけることだった。障がいとなる特性は弱点ではな く、「超能力」なのだ! そう気づく手助けができたと思う。一つ見方を変えることで、人生に全く新しい意味が生まれるのだ。

私が夢見る世界は、さまざまな背景を持った若者が教室内で孤立するの ではなく、その一員となれるような場所。さまざまな背景を持った若者が自分を表現でき、自分の可能性に気づくことのできる安全な空間だ。現在、 私はいろいろなキャンプや組織でカウンセラーやボランティア、活動コー ディネーターとして働いている。Ministry of Young Life や Boost Academyでの支援活動を通じて、人生や宗教、人間関係、教育といった多くのこと について、一人ひとりに合わせた視点から子どもと語り合っている。ただ 子どもたちの笑顔を見るのが、私の人生の喜びだ。その笑顔は、世界に生 きる人が 1 人ずつ変わる手助けを、私ができている証しだからだ。

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