人道主義者として、私は人生のほとんどを人助けに捧げてきました。母 子家庭に育ち、家族や愛する人たちからの親切にたくさん助けられたことで、私たちは誰もが大きな社会の一員なのだと理解するようになりました。 私は最近、先行きの見えない地球の未来をますます心配しています。カリブ海の小さな島の出身者として、壊れてしまった不公正な世界の影響が、歴史上のどの時代よりも今、膨れ上がっているのを感じます。気候変動 の思いがけない犠牲者として、私たちは毎年、壊滅的な暴風雨、終わりの ない干ばつ、急速にすり減っていく海岸線に対処しようと準備しています。
頼みの綱である数少ない経済機構のお粗末な財政管理や、デング熱ウイ ルスなど、一国の力ではとても対応しきれない世界的な健康危機によっ て、我が国の経済は突如として大打撃を受けてきたのです。
しかし、未知のことを恐れる一方で、私は日々目にする若者たちの行動 に刺激を受けています。ともに働く若いボランティアたちから、グレタ・トゥーンベリさんやマララ・ユスフザイさんに至るまでです。私は、自分 が属する世代や次の世代が現状に挑み続け、より良いものを求め続ける世 界を夢見ています。若者世代が、リーダーたちや、最良の決断を託されて いる意思決定者たちに対して、より大きな責任、説明義務、透明性を主張することを夢見ています。
私たちがもっと人助けや変化の促進に力を注いだら、世界から貧困や痛み、苦しみがなくなるでしょう。多くの人が抱える脆弱さを減らすことが できます。私がこう信じるのは、実際にそれを目の当たりにしてきたから なのです。赤十字でボランティアをしていたとき私は、紛争のために大規 模移住してきたシリア国民に最前線で対応する何百人ものボランティアの 活躍を見てきました。また、ベネズエラ国内の対立に端を発した移民危機に何千人ものボランティアが取り組む姿を目の当たりにし、刺激を受け てきました。私は、より良い世界を求めて闘っている若者たちにたくさん出会い、希望をもらってきたのです。 私は、理想郷を夢見ているわけではありません。それはほとんど不可能だからです。明日への希望をひたすら求めている人たちを蔑ろにしな い世界を夢見ているのです。私の世代とそれに続く世代が、この世界が 切実に必要としている希望となることを夢見ています。