貧しい地方に生まれ育った若い女性として、さまざまな困難にぶつかっ てきました。アーチェリーが大好きだったのですが、練習していると「そ れって男のスポーツじゃないの?」などと言われました。さらに経済的 な問題も重なり、いくらトレーニングを続けたくても、私はこのスポーツ から離れなければなりませんでした。胸が張り裂ける思いをした経験は初めてでした。ジェンダーに基づく偏見と不平等という社会のシステムが、 私の夢と希望を粉々にしてしまったのです。
世界は理不尽だと言いながら何もしない多くの人のなかの 1 人にはなり たくない。そう考えるようになり、将来は社会で活躍する人になりたいと 思いました。でも、政治への興味を口にすれば、「それって男の仕事で しょ?」と言い聞かされました。またしてもジェンダーの不平等。さらに、私にとって決定的な瞬間となったのは、性暴力を防止するためのプロジェ クトに積極的に参加し始めたときでした。容赦のない統計や話を耳にして、 世界は平等ではなく、それを変えるためにはやはり自分も行動を起こさ なければと気づきました。こうして、私は、ジェンダーの平等の実現を夢 見るフェミニストになったのです。
しかし、私の夢はジェンダーの平等に留まるものではありません。ジェ ンダーや人種などにかかわらず、生まれながらに平等であるが私たちの真実であるような世界を、私は夢見ています。これを成し遂げるために、 あらゆる社会問題と向きあって平等を追い求め、すべての人々が集える 場所を提供したい。そこで、自分たちの経験や社会の現実を学び、伝え、議論し、探求していきたい。これは、私たちを抑圧するようにつくられ たシステムに抵抗することでもあります。
この世界は、色とりどりの要素が集まったかけがえのないモザイク画の ような美しさを持っています。しかし残念なことに、ここがみんながシェ アしている家であることを忘れがちです。希望は、私たちのコミュニティ や、未来をより良いものにしたいという若い人たちの願いのなかにあります。
変化を起こす力は、私たちの経験を共有し、違いをつなぐことで生ま れます。そのため、小さな変化と行動でまわりの人を変えたい。必要とさ れるときに話をしたり、困っているときに助けの手をさしのべたり、つらくて泣きそうなときには肩を貸してあげたり。こうしたことすべて、つま り人生を前向きに捉えることが、最終的に大きな夢の実現へと導いてくれ る。そう確信しています。望みさえすれば、たった 1 人でも世界は変えられるのです。