現代の「エデンの園」

私はギリシャ神話と埃まみれの哲学書の娘です。ギリシャ神話からは人間 が自然と調和し、互いに尊重し合いながら生きていることが分かります。哲 学者たちは火、水、空気といった自然の元素を世界の根源と見なしていまし た。そこはまるで美しい魔法の世界。幼い頃の私は本を読みながら、そんな 世界にどっぷりと浸かっていました。

でも悲しいことに、現代に生きる私たちは「エデンの園」から追放されて しまったかのようです。現代の世界はすべてのものが速く、競争的で、利益 を追求している、過剰な消費主義社会。貪欲なシステムは、資源の限られた地球に害を及ぼしています。こんなふうに言うと世間知らずだと思われるか もしれないけれど、私は現代の「エデンの園」、すなわち利益ではなくサステ ナビリティを最優先に考えた社会の創造に貢献したいと夢見ています。

夢に向けて動き始めたきっかけは、2019年、ハーバード大学アジア国際 関係プロジェクトの会議に登壇したノーベル平和賞受賞者ラエ・クォン・チュ ン氏のスピーチでした。成長と持続可能性は必ずしも両立しないわけではな いと、いかに人々に理解してもらうことを目指してきたかを彼は説明してくれました。選ばれた政治家や科学者だけでは地球を救えないかもしれない。 環境に優しい選択肢を選ぶことを約束する、何十億もの一般の人々が必要なのです。

この言葉に勇気をもらった私は、国際的な学生ボランティア団体であるAIESECに参加して、サステナビリティについて学びました。私は特に 再生可能エネルギーの熱狂的な支持者として、イタリアのエネルギー政策に 関する提言書づくりに取り組みました。貧しい家庭におけるエネルギー効率 を向上させ、長期的にはお金を節約できることに焦点を当てています。残念 ながら、貧困のなかで育った人たちは、今よりも環境に優しい方法でエネル ギーを消費しようと思うことがあまりありません。なぜそうした方が良いの か知らないからです。そのため、提言書では「エネルギーの貧困」の意識を 高めるために、新しい規範の策定やコンサルティングの実施を主な目的としました。

私たちの取り組みは、人と自然が共生するサステナブルな未来を築くための若者世代のコミットの一つですが、私たちだけでは達成できません。読者 のみなさんが日々の生活のなかで実践することで、人類は何よりも地球に優 しくなれるのです。地球の市民として国籍や宗教、年齢にかかわらず、私た ちの惑星の繁栄に貢献しなければなりません。何千年もの間、私たちの文明 を養い仕えてくれた、この惑星を守ることができるのは、地球に住む私たち なのです。

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