今日の健康が明日の健康をつくる

世界中の子どもたちや若者たちの健康状態を改善したい! その想い を胸に今、グローバルヘルスに情熱を注いでいます。僕はメキシコのタバ スコという熱帯にある州で生まれ育ちました。子どもの頃、周囲の緑豊か な植物や野生動物にいつも心を奪われていましたが、それと同時に、社 会的経済的に恵まれないために医療を十分に受けられず感染症や慢性疾患に苦しむ人々の姿に心を痛めていました。このことが健康にかかわる 仕事に就きたいと思うきっかけとなったのです。

19 歳のとき、僕の国における性の健康に関するキャンペーンが、事実 上は若者に向けられたものではないと気がつきました。そのせいで若者は 10代で妊娠したり、HIVのような性感染症の被害を受けやすい状況に陥っ ていたのです。現在の若者が健康でなければ、未来の世代の健康はありえ ない。僕はこんな状況を変えたいと、21 歳のときに BIDESIDA-UANL を共同設立しました。これは学生主導のプロジェクトで、HIV への意識 を高め、私たちの大学内外の若者に性の健康教育を提供することを目的と していました。ワークショップ、メディア出演、ソーシャルイベントなどを通じ、科学的根拠に基づいた知識を用いて意識向上に取り組みました。 結果、国内有数の大学の1校から17 万4000人以上の学生に届いたのです。 ただ成功したものの、ここまでの道のりは楽ではありませんでした。

感染症であれ非感染症であれ、慢性疾患の予防には幼少・思春期が最も 有効だと現代科学で証明されていますが、メキシコの保守的な文化のな かでは、性の健康について話すことがまだタブー視されています。「性の 健康は公共の場で議論されるべきではない」と主張している意思決定者 たちがいる現実。これを変えることが、僕の現在の課題です。

今は予防のための施策を前進させようと取り組んでおり、政治家に予防 医療への投資を増やすよう求めたり、社会的責任として民間企業がもっ とかかわれるよう支援したりしています。いつか、僕はバイオテクノロジ ストでありながらグローバルヘルスの専門家でもある、最初の保健大臣に なりたいと考えています。そして、予防、イノベーション、科学に基づいた政策を通じて医療を促進したい。これは保健医療への取り組み方を、 病気の治癒から予防に変えることになるでしょう。若者のためだけでな く、女性や先住民族、移民、LGBTQ +、その他のマイノリティと呼ばれ る人々、すべての人のために、より大きなスケールで夢を描き続けていきたいと思っています。

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