テクノロジーは新たなルネサンスか?

私の夢は、人間が本来の興味を追求するための知識、技術、意志、経済 的手段を持っている創造力に満ちた世界の実現だ。子どもの頃からこの夢を進化させてきた。他の子どもたちが遊んでいる間、私は数学の問題を解き、 運輸業、銀行業、世界経済などで人々が行うあらゆるプロセスをいかに改 善できるかを考えていた。コンピューターの成長に熱中していたんだ。現在はソフトウェア会社を経営している。私の開発チームは新しい AIをつく り出そうとしている。これが成功すれば金融サービスを自動化でき、銀行 はより速く、より少ない従業員で仕事できるようになるだろう。すごいよね? 「自動化することで人々には選択する時間が生まれ、人生は誰にとってもより簡単で楽しいものになる!」そう確信して私は人生を歩んできた。

だが、本当にそうなのか? 多くの人々がテクノロジーのために仕事を 失う。それは避けて通れないことのように思える。おそらく再び「やりが いのある仕事」にありつくのは難しい。もしあなたの仕事が「自動化」さ れたら、幸せになれるかではなく、生存できるかどうかに頭を使わなければならない。国連は S D G 8 を策定する際に、果たして「人間の仕事の自動 化」まで想像していただろうか?

経済的貧困に対しては、例えば政府が国民に所得を提供するといった政 策が必要になる。これが社会の標準になれば、問題の半分は解決だ。しか し残り半分、つまり「私たちの時間を何に使うのか」が重要だ。これは政府の政策ではなく、私たちの行動のなかにある。ただ食べる、寝る、ゲー ムをする、それを繰り返すだけでも人間は十分生きていける。しかし、私 たちのやることがそれだけなら、テクノロジーは私たちに終焉を告げるか もしれない。では、あなたは日がな一日画面をスクロールするだけになる か? あるいは、芸術、批判的思考、クリエイティブな執筆、さらには宇宙の難問に思いを馳せるといった、機械にはできない何かを学び、創造し、 共有し、教えるのか? もしあなたが消費するだけではなく創造すれば、

人生が表面的な価値だけではなく中身あるものになれば、人類が S D G 8 を 達成するのを助けることになるだろう。

あらゆるものが手に入る先進国だが、「魂の貧困」が存在している。既 製品で消費するのではなく、現実を創造し、探求し、理解することで、私たちはともに魂の貧困を根絶できる。アルゴリズムに操られるのではなく、 新たなテクノロジーを糧に人類が発展する、新たなルネサンスが幕を開けるかもしれない。すべては私たちにかかっているのだ!

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