路上で物乞いをする子どもや結婚のために学校を辞める少女、家族を 養えずに焼身自殺する父親——第三世界で育った私は、あらゆる種類の不 正義を目にしてきました。6 人家 族の我が家も、経済的には厳しい状況にあり、私が生活費を稼ぐために働き始めたのは 14 歳のときでした。しかし、 私には、どんな犠牲を払ってでも私たちの教育を最優先し、私が強く自立した人間に育つようにと全力で後押しをしてくれた、素晴らしい両親がい ました。
教育の力が負の循環を止めると、私は固く信じています。そこで私は 15 歳のときに、地元コミュニティでのボランティア活動を始めました。
その後、LOYAC Lebanon という NGO キャンプで、恵まれないレバノン 人の子どもたちやシリア難民の人権に関するクラスを指導しました。これ は、レバノン人とシリア人という、二つのコミュニティの架け橋となり ながら、教育を通じて子どもや女性に力を与えることを目指したものです。
最初のキャンプでは、いろんな感情が込み上げました。17 歳以下の少 女たちに将来のことを尋ねたとき、彼女たちは「より良い生活をするた めに結婚したい」と答えたのです! これは衝撃でした。結婚が後から 大きな願望や夢につながらないわけではありませんが、教育や子ども時 代が犠牲にされて良いはずありません。少女たちが自分の持っている可 能性に気づけるように、きちんと支援の手がさしのべられれば、結婚だ けが唯一の選択肢だなんて思い込まなかったはずですから。
子どもたち一人ひとりの物語が違った形で胸を打ちました。彼らは愛す る者を亡くし、暴力を目の当たりにし、戦争を逃れるために学校を辞めた 子どもたち。彼らの失われた子ども時代を取り戻せるのは教育だけ。そ の想いはますます強くなっていきました。
今でも鮮明に覚えている言葉があります。キャンプ最終日に、1 人の少 女が私のところに来てこう言いました。「将来、あなたみたいな先生にな りたいの。」たった 1 人がこんなふうにたくさんの人生を変えるのは素敵 なことです。私はこう自分に問いかけ続けています。「私 1 人でここまで
できるなら、世界中が同じことをしたらどうなるだろう?」
今、私はトルコでボランティア活動をしています。地元の人たちに英語を教えているのです。彼らの人生と未来の変化の一端となれることに、 とても幸せを感じています。人権活動家、UNESCO のユース・リーダー、 そして地球市民の 1 人として、私は夢見ているのです。地球上すべての子 どもたちが、質の高い教育を受けられる世界を!