僕は「壊れた」家庭で育った。母は何度も離婚を耐え、僕たちは家庭内暴 力を受けたことさえあった。祖父は良い人だったが、たばこ中毒のせいで心 臓発作で亡くなった。喫煙と女性を苦しめることは「男らしい男」の一要素 だったのかもしれないが、僕はそんなステレオタイプには全く当てはまらな かった。また、両親がそろった家族のイメージにも馴染めなかったので、自分の人生は完璧ではないと昔の僕は思っていたんだ。 僕は被害者のままでいることもできたし、内気な少年でいることもできた。
でも僕は夢を見ることにした。自分の欠陥と向き合い、それをすべての人に とって公正な世界をつくるという夢に変えることを選んだ。その世界では、 すべての人が大切にされていて、健康は特権ではなく、誰もが持つ権利だ。
子どもたちは健やかに成長し、女性は差別されることなく、みんなが自分の 声を持ち、政治は世界のたった 1%のためだけでなく、みんなのために機能するのだ。 この世界を実現させるために、僕は高校生のときからさまざまな運動に参加してきた。2015年、僕はたばこ規制枠組条約(FCTC)のために若者を集 めて運動を始めた。たばこの問題というのは、喫煙がどれほど健康を害する かだけではない。インドネシアでは、多くの子どもたちがたばこ産業に搾取 されている。子どもたち自身がたばこを吸ったり、宣伝をしたり、たばこ農 場で働いたりしている。これを知って、私は Emancipate Indonesia という団 体を立ち上げた。現代の奴隷制というこの問題に取り組み、インドネシアの 若い労働者たちを結束させ、組合をつくろうと考えたのだ。
24 歳のとき、One Young World のアンバサダーの 1 人となり、世界中から 集まった聴衆の前で話した。ハリウッド俳優であり #MeToo の活動家であ るテリー・クルーズ氏が僕と一緒に登壇すると知ったとき、信じられない気 分だった。僕のスピーチの前に、テリーはこう言ってくれた。「君は歴史の 正しい側にいるんだよ」と。そのとき僕は、「欠陥」があるためにいじめられたときのこと、諦めたかったけれど諦めなかったときのことを思い出し、 結局すべてに価値があるんだと悟った。
自分の人生の「欠陥」を受け入れたとき、僕は教訓を得て、夢を見つけた。 一家の大黒柱であり、子育てもしなければならなかった母は僕に、夢を見る だけではなく、行動を起こすことが大事なのだと教えてくれた。夢は僕たち の目をまだ取り組んでいないことに向けさせ、行動は僕たちに何ができるか を教えてくれる。しかし、僕たちは終わりに到達することは決してない。プ ロセスに集中しよう。そうすれば、僕たちは夢や行動をより良く形にできるだろう。