未来世代の「故郷」をつくる

私はアクティビストであり、ユース・トレーナー、ユース・リーダーです。 人権や平和についての教育、そして異文化間の対話を通じて不寛容やヘイト スピーチ、いじめや差別の一掃に力を注いできました。

私がこの活動に専念できるまでに、多くの困難がありました。例えば、ア クティビストとはどういうものかが理解されなかったり、活動費や生活費を稼ぐための副業を続ける必要もありました。活動家として世間から認められ るまでに、結局 4 年もかかったのです。それでも自分は幸運な人間だと思っ ています。世界を不寛容や差別のない、より良い場所にしたい、いわば『スター トレック』の「惑星連邦」が現実となった世界をつくるという夢と仕事が一致しているのですから。 これを実現するにはまだ長い時間がかかりそうですし、「それは夢だし、ユートピアだ」とシニカルに言う人もいるでしょう。でも私に言わせれば、私た ちが分かち合うことができる未来です。ただしそのためには、人類全体が考 え方を変えなければなりません。

私はバルカン半島の出身です。この地は根深い民族間の対立によって引き 裂かれた「ヨーロッパの火薬庫」だと、あなたの歴史の教科書では描かれて いるかもしれません。実際いまだに同じ街で生活をしながら、一度も民族間の溝を乗り越えたことのない若者たちがいます。それでも私たちの活動を通 して、お互いに抱いているイメージがプロパガンダによってつくり出され、 いかに偏見に満ちているかを理解し、少しずつ心を開き合うようになっていく若者たちの姿をたくさん目にしてきました。それは、若者が現在と未来の 世界をより良いものにするために、力を合わせて過去の亡霊と闘い、コミュ ニティを分断する壁を打ち砕こうとする、この上なく力強く真しん摯し な姿でした。

私たちの活動を広げていくには、社会が 一人ひとりの声を尊重する、誰も が参加できる場所にならなければなりません。多様な視点が集まれば、素晴 らしい結果が生まれてくるでしょう。幸いなことに、例えばインターネット のようなテクノロジーを正しく活用すれば、世界中の若者たちを結びつけ、 それぞれの人生の物語を共有し、力を合わせていくための大きな助けになる はずです。

人類は必ず変わることができる。私は自らの活動を通じて、すでに体験し ています。宗教が人々を分断するのではなく結びつけ、異なる意見や生き方 が批判されるのではなく尊重される世界。多様性が誇りとなる場所。誰もが 安心して暮らせる、未来の世代が誇りを持って「故郷」と呼べる場所を目指してともに歩んでいきましょう。

———–
書籍 WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGsはこちら

上部へスクロール