すべてのカリブ女性のためのパラダイス

私はカリブ地域にある島に住んでいます。私が住んでいる場所を言うと、 そんな楽園に住むことができるなんて幸運だ、とよくみんなに言われます。白い砂浜と暖かい気候から成る美しさに囲まれていることは認めますが、「楽 園」という言葉と私の祖国がどのように結びつくのか、説明するのが難しいと思う日もあるのです。

「それはなぜですか?」とあなたは聞くかもしれません。その答えは、他の多くのカリブの女性たちと同じで、私がジェンダーに基づく暴力のサバイ バーだからです。統計によると、世界の3分の1の女性が一生のうちに、親 しいパートナーからの身体的暴力、性的暴力、あるいはパートナーでない人 からの性的暴力を経験しています。残念ながら、私はその3分の1のなか の 1 人。でも、それが私という存在のすべてではありません。私は自分の最悪の経験によって決めつけられることを拒む人間でもあるのです。

自分自身の経験、そして他の人たちの経験を知り、2 016 年、ついに我慢 の限界に達しました。私は自分の国の、そしてさらに広い地域の女性や少女 たちに対する暴力を排除する役割を担おうと決意したのです。私の個人的な 経験を SNS で堂々と話すことで、#LifeinLeggings という運動を起こしたのです。

この運動は、社会に存在し広く浸透しているレイプ文化に立ち向かい、長い間ずっと女性たちや少女たちを苦しめてきた暴力を撲滅することを目指し ていました。この場をつくることで、カリブ地域にいる女性たちとここを離 れた女性たちを力づけ、最終的には沈黙を破って、ジェンダーの平等を達成するのに必要な社会変化を要求できるように、努力していました。そのハッ シュタグを用いて私が最初に投稿してから、カリブ地域と世界中にいるカリ ブの女性や少女たちが、行動しようという私の呼びかけに目を留め、同じこ とを開始するのに時間はかかりませんでした。ハッシュタグは、カリブのほ とんどすべての国に拡散され、カリブ地域で最もインパクトのあるサイバー・ フェミニズム運動の一つとなり、その後数カ月で他の人たちを触発して同じ ような運動が現れました。

やがて運動は、Life In Leggings: Caribbean Alliance Against Gender-based Violence Through Education, Empowerment & Community Outreach という 草の根レベルで活動する組織に発展しました。私たちが最初に計画した取り 組みは、Reclaim Our Streets: Women’s Solidarity March でした。私たちは、7つのカリブの国々で同時に行進を行いました。ジェンダーに基づく暴力に 反対する姿勢を示し、人々が私たちに合流するよう促すためです。

私たちはそこで立ち止まることなく、Pink Parliament という取り組みも 始めました。目標はメンターシップや教育、女性の政治家たちと交流する機 会を提供し、14 歳から 20 歳の少女たちが、政界でのキャリアを考えてくれるようにすること。そうなれば、立法と政策のレベルで女性や少女に影響を 与える問題に立ち向かうことができるようになるでしょう。

私が夢見るのは、すべてのカリブ人女性にとっての真の楽園です。私にとっての楽園は、私が安全でいられる場所。蔓延するセクシュアルハラスメント を覚悟することなく、外出できる場所。1日のほとんどを、次のフェミサイ ド※ 5 の犠牲者になることから自分をどう守ったらいいのかを考えることに費 やすことのない場所です。そこに住む女性たちが、もし自分たちの生活に不 安があって本当に楽しむことができないならば、地球上で最も美しい場所の

一つに住んていでも、何の意味もありません。 すべてのカリブ女性が、いかなる形の暴力にもあうことなく、公的にも私的にも、そしてバーチャルな場所でも生きる権利を持てる楽園をつくる。生 きている限り、その手助けをしようと私は決意しているのです。

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