木々の間で鳥たちがさえずり、庭の草に露が落ちる肌寒い朝。私が子 どもの頃、週末、目覚めると朝はこのようなものでした。子ども時代で一 番の思い出がある、静かで小さな母の村で週末のほとんどを過ごしてい
ました。母がタロイモ畑に行くときにはその後ろを尻尾のようについてま わり、畑では日陰に置いた米袋の上に座って、母がタロイモを集めている間、退屈しのぎにサトウキビをかじっていました。 私と同世代の多くの人たちは似たような経験があることでしょう。時が経つにつれて、パラオではこうした生活、つまり豊かな自然環境のな かで喜びを感じる生活を送る人の数は少なくなっています。来るべき世 代に私と同じような経験をさせてあげたい。それが私の夢です。そのた めに国が一丸となって、私たちの子孫のために手つかずのままの環境が 残るようにしなければなりません。
現在、海面上昇が原因でタロイモの畑に海水が流れ込み、作物を病気 にさせています。異常気候が常態化し、作物を育てることが以前よりも 手がかかるものになっています。乱獲も問題です。魚の生息数の減少により、地元の漁師たちは販売や家族のための漁がより困難になっています。 サンゴの白化現象もそうです。パラオでは、サンゴが大波から島を守って いますから、私たちの暮らしはサンゴに頼っているのです。
私にできるささいなことから始めようとしています。地元の NGO で働 きながらさまざまな活動をしていますが、Palau Pledge Challenge などの地元の団体を通してパラオの学校が参加する、「たばこの吸い殻集め競争」 はその一つです。この活動の目的は、たばこの吸い殻にはマイクロプラス チックが含まれており、いずれ海へと流出していくことを子どもたちに 知ってもらうことです。こうした活動を通して、私たちのまわりの環境 に目を向け、守っていくため人々の意識を高めたいと考えています。
ありがたいことに、パラオの指導者たちは、国を守ることの大切さを 理解しています。水の 80% を守るという宣言や、来訪者に環境を守るた めの環境誓約を求めたことで、自分たちの国を守るのだという風潮をつくっています。でも、これは始まりにすぎません。国民として、自分たち の島を守るために役割を果たし、文化や伝統を保持しなければなりません。
私たちは環境に仕える身であることを意識するとともに、みんなが自然 を尊重する楽しい世界を夢見るのです。