土地こそが命

私は、南太平洋に浮かぶ 80の小さな島々から成るバヌアツの出身で、 首都のポートビラで育ちました。都市の中心部で育った私は、将来の成功 は良い教育と給料の良い仕事次第だと思っていました。大学卒業後、 Vanuatu Indigenous Land Defense Desk という地元の NGO に参加し、母 国の真価を見極める力を初めて与えられました。また、バヌアツ国家統計局から資金援助を受け、地域社会の発展と福祉を目的としたプロジェク トにも取り組みました。

バヌアツのさまざまな島を旅するにつれて、子どもの頃の海の思い出を 今の子どもたち世代と共有できないことに気がつきました。私たちは美し いマングローブの下で遊び、小さな魚やカニを捕まえて遊んでいましたが、悲しいことにこのような場所は気候変動や人間の活動によってすべて消 滅してしまいました。小さな島国の生活は、自然環境にも社会環境にも、あらゆることから影響を受けるのです。 そこで、大地から海まで自然資源の大切さや伝統的な知識を伝え、スキルの復活を図るワークショップを行いました。これらは、バヌアツで本当 の意味で「良い生活」を送るのに基礎となるものです。土地は「私たちの 母」と見なされていて、生きるのに必要なすべてをもたらしてくれます。

私たちは先住民のコミュニティの伝統的な慣習のもとで土地を保護し、コ ミュニティや学校での意識を高めなければなりません。

バヌアツでは、「良い生活」とは必ずしもお金を稼ぐことや、車を所有 すること、あるいは給料の良い仕事に就くことに左右されません。大地、 綺麗な水、あらゆる海の資源、豊富な伝統的知識が自由に手に入るとき、 完全な「良い生活」が見つかるのです。そしてバヌアツでは、誰もが家族、部族、社会集団のもとに生まれると、自分がいるべき場所や家庭、仕事を持ち、ホームレスや飢えた人、仕事がない人はいません。私たちはあらゆ る意味で幸福な生活を送っています。なんて恵まれているのでしょう!

私の夢と生涯の使命は、私の国の将来の世代が、私が今享受している贅ぜ い 沢た くな環境を同様に享受できるようにすること。このために私は、自分がど こから来たのか、年配の人から伝わる知識と技術を知ることから、どのように豊かで回復力のある生活がもたらされるのかを若者たちに教えます。 土地は私たちにすべてをもたらし、みんなに命を与えてくれると信じてい ます。バヌアツではこう言います。“Garon hemi Laef !”(土地は命)と。

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