生きていて良かったと思える世界

グローバルな経済成長。それは私たちの世界が豊かで素晴らしいものに なることだと考えている人は少なくない。でも、本当にそれは理想の世界だろうか?

これまで人類は、経済が成長を見せているその裏で、罪のない人々や子 どもたちに対して過酷な状況を与えてきた。経済の発展を求めるが故に起 こる衝突は、武力紛争につながり、果ては軍事戦争へと至る。

私たちは、世界のごく一部の人々の権力争いに、その争いの理由も目 的も知る由もないまま巻き込まれ続けている。その結果、世界には、社 会的援助を一切受けられず、毎日の糧を得るために物乞いをせざるをえない孤児や、夜の寒さや危険に耐えながら歩道で寝ている子どもたちがあ ふれている。

私は、特にアフリカ大陸から、そして世界全体からストリートチルドレ ンが完全にいなくなる未来を夢見ている。

私の故国チャドもまた、とても貧しい国だ。先進国と比べると経済は まだまだ発展途上で、国としてどのように前進すべきかを模索している 途中にある。成長している最中の国に極めて重要なこと。それは、今ある先進国が、「経済成長のために、人々の権利を蔑ろにし、地球資源を消 費し、環境を汚染している」という事実を踏まえて、これから発展して いく国々は「正しい方法で開発を行わなければならない」ということだと考えている。 その正しい方法とは、貧困・健康・環境などを置き去りにせず持続可能な開発を成し遂げること。今、私は Espaces Verts du Sahel(サヘルの緑) という環境 NGO のトレーナーをしている。チャドの 50 以上の学校で、 3,000 人以上の子どもたちと活動しており、生徒たちが教育活動を通して

国の未来をつくっていけるようにしたい。 正しい方法で発展がもたらされる未来では、多くの子どもたちが、お腹いっぱいになることができて、暖かなベッドで眠ることができている はずだ。


これこそが私が夢見る持続可能な世界であり、生きていて良かったと思 える世界なのだ。

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