何を信じて働くのか?

私は、NATO の爆撃や恐ろしい戦争を経験した国で育ちました。こう した状況のなかで育った世代は、雇用を増やし、海外投資を行い、小国の G D P を増やす責任があると教えられました。しかし、いつの間にか、開発の基本的な価値である教育への投資を忘れてしまったのです。 世界をより良い方向に変えていくような仕事に就くことが、幼い頃から の夢でした。いよいよとなったとき、私が取り組んだのは法学の学位を取ること。卒業後は地元で有数の法律事務所に入りました。正義のために闘 う気まんまんでした。ところが 2 年近く働いて気づいたのです。私はただ企業のビジネスを最適化するのを手伝っているだけだったことに……。 私は事務所を辞めました(仲間たちからは奇異の目で見られましたが)。

私が本当にやりたい仕事は何なのだろう。高校時代に描いていた夢の一つがよみがえってきました。「セルビアの教育制度を改善したい」という夢 です。当時、私の国は、優秀な人材が海外へ流出したり、研究現場で不正が行われたり、さまざまな深刻な問題を抱えていたのです。

かつての夢に立ち返った私はノバク・ジョコビッチ財団に入りました。 この国の大半の幼稚園は 9 0 年代以降修繕されることなく、おもちゃや本、教材はすべて現代的な教育には時代遅れのものばかりで、とてもひどい状 態です。財団では、これまでに 45の幼稚園を建設・改築し、約 3 万人の 子どもたちに助けの手をさしのべてきたのです。この財団の一員であることに、私は誇りを感じています。心の声を信じて良かった。

一流の法律事務所での仕事をなげうった自分を褒めてやりたいと感じて います。財団の仲間と働く毎日には、この国が一歩ずつ前進するための手助けをしている手応えがあります。子どもたちの夢を信じることで、私は 自分の夢を実現させているのです。

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