私は南フランスとパリの間で、中流階級の家庭に育った。私の幼少期 は「プルーストのマドレーヌ」だ。私にとって、子ども時代は間違いな く人生で最も重要な部分。大切な思い出を決定づけるものだ。つまり、決 して忘れることのない思い出、疑いの瞬間に慰めを得られるような思い出を。
私は 5 歳のときのことを決して忘れない。オリーブの木の間をはだし で駆け回り、隣にジャーマンシェパードのサムがいたあの頃を。私は少女 でも女でもなかった。子どもだった。母は 1 人で私を育ててくれ、そして私はすぐに理解した。家族とは、不可欠なママやパパといった存在で成 り立つのではなく、自分が望むメンバーで構成されるのだと。こうして私の人生の最初の経験が、今の私という女性を決めた。 私は現在パリ第二大学の法科の学生で、パリ犯罪学研究所で刑法を学ぶことにした。なぜって? すべての人に成功するチャンスが平等にある わけではなく、子ども時代の夢や無垢を持ち続けるチャンスも平等では ないのだと、成長する過程で気づいたから。無垢は否定的なものから私た ちを守ってくれる。その素朴さや、不思議に目をみはる感性が、私たちの なかの子どもを生き生きとさせてくれる。ストレスに苛まれた不安な大人 になる前、私たちはみなオリーブの木の間を駆け回る自由な子どもの精 神を持っていたのだ。私たちの夢や野心をかきたてる精神、私たちが守り、 思い出さねばならない精神を。
犯罪学研究所で学んだことがあるとすれば、それは、危険にさらされ る子どもたちを守り、少年犯罪者の効果的な社会復帰を組織する法律が足 りないということだ。未来は若者のなかにある。若者を守ることは私たち の明日のために最も重要だ。私は若者のための弁護士になりたい。これは私の子ども時代からの夢だ。若者を擁護し、幼年期の暴力から保護さ れない者たちを守る弁護士になりたい。若者が抱える葛藤について教え、 予防策を懸命に推し進める弁護士に。私はこの政治的で教育的な闘いに 自分のキャリアを捧げることにした。運と特権が私にはあることを自覚しているから。
私たちの努力と闘志が形づくる明るい未来を信じている。夢に向かって生きる者は、行く手を阻むどんな逆境にも耐えられる。私は夢に向かっ て前進し、夢のために闘うことができた。だから、幼少期や想像力、内な る力を守ることを通じて、明日の世代にも同じ未来とチャンスをもたらす手助けがしたい。