サンマリノは、世界のミニ国家のなかでもとりわけ小さく、イタリア半 島にある総面積約 6 0 km2 の小さな「包領」です。サンマリノの歴史が始まっ たのは 3 0 1 年のこと。聖マリーノという名の石工がティターノ山で小さな 共同体をつくり、これが世界最古の共和国となったのです。私たち国民に は、ラテン語に由来する二つのモットーがあります。「自由」を意味する“Libertas” と「誰にも依存しない」を表す “Nemini teneri” です。
1861 年、エイブラハム・リンカーンはサンマリノから名誉市民の称号を受けましたが、「貴国は小国ながら歴史上最も名誉ある国の一つです」 と書簡にしたためました。私たちが中立を守ってきたことは財産であり、自由であることを永遠に称賛していくべきです。私たちが最大の過ちを犯 すとするなら、何の苦労もなく自由を手に入れたと思い込み、自由を当た り前のものと考えることです。皮肉なことに、私たちは自国の独立を守っ てきた強さには全く考えが及ばないのです。
もう一つ皮肉なことと言えば、コロナウイルスをきっかけにサンマリノ の存在が知られるようになったことがあります。人口比ではサンマリノは 最も被害を受けた国の一つとなりました。他国に決して依存してこなかっ た私たちは、イタリア、中国、日本、ポーランド、イギリスなどと手を取り合い、さらにその他多くの国も私たちに手を差し伸べてくれました。サ ンマリノが将来どうあるべきか、まるでコロナウィルスが教えてくれてい るように感じました。
私は今、モスクワの大学院で国際関係学を学んでいます。サンマリノ人 としての誇りを持ち、多国間外交を推し進めていきたいのです。そのため に外交官になりたい。多国間外交に必要なのは優しさと努力、そしてオープンな姿勢です。
私の夢は他の国々とつながり、共通の問題に立ち向かうことです。サンマリノ人であり世界市民である私は、すべての国が友達である世界、そし てサンマリノがそのための架け橋の一つになることを夢見ているのです。