「リーダーシップ」と一口に言いますが、それはどんな能力なのでしょ うか? 私にとっては「どんな障害にも打ち勝つことができる個人の強さ、 それを支える考え方やスキル、そして目標を達成するまで諦めず、自分が信じていることのために毅き 然ぜ ん とした態度を取る勇気」だと思います。つ まり、自らの人生を、自らの手で切り拓いていく力。私は、誰もがその力を手に入れ、発揮できる世界を夢見ています。 私は地方の中流家庭で育ち、大学進学のために首都バンコクに出てきました。そこで直面したのが、都会で良い教育を受けてきた友達と故郷の 人々との間に横たわる歴然たる社会的格差。懸命に働いてくれた両親のお かげもあって、私は可能な限りの教育を受けることができました。しかし、
身近な親戚全員がそうだったわけではなく、例えばいとこの 1人は最低限 の教育しか受けられず、「初歩的な仕事を何とか見つけたのに A I に仕事 を奪われた」と嘆いていました……。彼女の話を聞いて、誰もが良い教育 を受けられ、リーダーシップのスキルを養えるようにすることが、社会の 未来にとっていかに大切かを思い知らされました。
私のリーダーシップが最初に開花したのは大学生のとき。国際的なリー ダーシッププログラムのようなさまざまなプロジェクトに参加し、教育 水準の高くない地方出身者である私は、自分よりも恵まれた環境にいる 仲間と肩を並べる努力をしました。彼らと同じ機会を与えられ、一緒に 学ぶ機会を得た幸運に感謝するとともに、リーダーシップは良質な教育によって誰もが身につけられると信じられるようになりました。
私は今、SWAG EV という電動二輪車 (EV) メーカーの事業開発担当 副社長として働いています。当社はタイで EV のインフラを構築し、国内大学向けの EV コースを開発していますが、会社の持つプラットフォー ムを活用して若者が教育の機会を追求できるよう支援していきたいと思い ます。例えば、中堅大学と提携して学生がインターンシップに参加できる ようにしたり、EV とグリーンエネルギーの意識を高めるために、大学構 内や近隣での電動自転車のレンタルサービスについての事業計画を大学生たちと一緒につくり上げました。
誰もが一流大学にばかり目を奪われるから、格差が生まれます。キャリアを積み、人生を歩み、リーダーシップのスキルを獲得するチャンスがみ んなに与えられるべきではないでしょうか? 誰もが平等に自分を磨くこ とができてこそ、次世代の人たちは私たちが与えられた以上のものを獲得 できると考えています。