僕は北アフリカのチュニジアという国で生まれ育ったが、ここではアメ リカやヨーロッパ、アジアに生まれた人々が手にするようなチャンスなど望むべくもない。とてつもなく時代遅れな教育システムのせいもあって、 チュニジア国内にいたいと考える人は少なく、頭脳が国外流出するのが当 たり前になっている。
僕自身、コンピューターサイエンスとロボット工学の分野に飛び込んだ ときには、大きな困難にぶつかった。政府から十分な資金や支援を得られなかったのだ。助けの手をさしのべようとしてくれる NGO や企業もいた。 しかし、官僚主義と無関心に阻まれて、最終的には諦めて海外にチャンス を求めなければならなかった。僕たちの技術はとても優れていて、海外の
国々がそれを求めていたから、僕たちは大きな収益を上げることができた。 この状況が続く限り、みんなインターンシップや仕事を海外に求め、ほと んどの人は二度と戻ってこないだろう。才能豊かな人がたくさんいる国に とってこれは非常に悲しいことだ。
僕は、誰もが同じようにチャンスを得られる世界を夢見ている。チャンスが簡単に手に入る人がいるのに、同じチャンスを得るために莫大な金額 を支払ったり、地球を横断する旅をしたり、親しい友人や家族と離ればな れになったりしなければならない人もいる。そんな状況をなくしたい。
そこで僕は、変化を起こすための旅に出た。過去 5 年間、常に自分自身 や仲間を上回るパフォーマンスを発揮し、学んだことや地域社会との接点 を積極的に広くシェアした。たくさんの企業家たちと親しくなって地元の 人材を推薦したり、学ぶことを楽しくする教育者になって知識を共有する ようになった。二つの NPOを共同設立し、チュニジアでデータサイエン スを促進するため、人材育成や雇用の創出に取り組んだり、国際的なプロ ジェクトにも貢献したりしている。さらに、Facebook DevC Tunis Community を率いてメンバーたちに絶えずトレーニングを提供し、成功のチャンスと つなげてきた。今は、YouTube チャンネルをつくって、チュニジアの同胞 たちの指導者となり、キャリアを積んでいけるよう手助けするために、多くの時間を費やしている。つまり、できる限り短期間でレベルをアップし、 最高のものと出会い、手に入れたものをシェアしてきたというわけだ。
将来、世界でもトップクラスの企業に注目され、信頼され、向こうから 私たちのような人材を求めてアプローチしてくるような存在になることが 目標だ。いずれにせよ国内に私の国のためにハイテク分野での雇用を生み 出したい。そのために必要なことは何でもするつもりだ。