生まれてからずっと、私たちは変化を切望してきました。そして私たち が住む世界は、毎日、さらに多くの理由を突きつけてきます。気候変動、 紛争、貧困、さまざまな不正や不平等。もちろんこれら諸悪は今日始まっ たわけではありませんが、インターネットの普及でますます多くの問題 が浮き彫りになっています。
しかし、ほとんどの場合、変化への望みは落胆に、ときには諦めに変わ ります。なぜなら私たちには物事の流れを変え、ひいては世界を変えるた めの力が足りないと思ってしまうからです。結局のところ、変化は権力 者が起こすものだと信じることに慣れているのです。政治、立法、経済 のいずれの変化であっても。私たちは、変化は重大な事件によって引き起こされるものだと歴史のなかから学んできました。革命や自然災害、 パンデミック、国の支配層の思いつきといった出来事によってです。
私は長い間このように信じていましたが、あるとき、「バタフライ・エ フェクト」というたとえを知ったのです。蝶が羽をひとたび動かしたこと で、世界の裏側で竜巻が引き起こされているかもしれない。日常生活に話 を置き換えると、このたとえは、私たちの世界が複雑で、予測不可能で、脆いものであり、さらに、私たちの小さな行いがいかに重要な変化につ ながりうるかを暗示しています。 そのときから私は、この小さな蝶の羽ばたきを毎日実践するようにして います。家庭生活のなかで、さらにビジネスリーダーとして、活動家とし て、モチベーショナル・スピーカーとして。そして、気をつけて見てみれ ば、私の小さな行動が大きな変化を生んでいることが分かったのです。 私は起業家として、デジタル広告代理店を共同設立しましたが、ちょっとした感謝の言葉をかけ、仲間の仕事を評価すると、それが彼に自信を与 え、良い仕事をするようになり、会社の業績が上がり、彼の給与が上がり、 ひいては彼の家族がより良い暮らしができるようになるのです。元をたど れば、すべてが小さな感謝の言葉から生まれたのです。
だから、私は夢見ています。誰もが良い方向へ世界を変える力を持って いると気づくことを。ささやかな親切や共感、環境意識、職業倫理、美 徳に基づくささやかな行動で世界を変えられるのです。「バタフライ・エ フェクト」という視点から、誰もが自分の行動の価値を認め、私たちが夢見る世界を築くために普段着のヒーローになることを私は夢見ています。 私たちの小さな行動が、いずれは気候変動のような大きな闘いでの勝利 に導いてくれることでしょう。