先祖の知恵を世界へ

子どもの頃は、週に一度、田舎のひいおばあちゃんの家に行ったもので した。ひいおばあちゃんがいろんな食べ物を畑に植えるお手伝いをしたかったのです。たいてい、畑に行こうとお願いしても、私に微笑みかけて、 まだ植えつけの時期じゃないのよと言いました。地面に穴を掘って種を落 とせばいいだけなのに、なぜ待たないといけないのか、私には分かりませ んでした。ある夏の日のことを覚えています。ひいおばあちゃんはついに、 土が整ったよと言いました。そこで私は大急ぎで種の入った袋を手に取り、彼女が土を耕す間に、言われた通り種を蒔ま いたのです。ひいおばあちゃん の死後、土地はもう以前ほど豊かではなく、豊作も得られなくなりました。

ひいおばあちゃんがなぜ辛抱強く植えつけを待っていたのかを調べ始め たのは、つい 2 年前のことでした。私は地域の先住民グループと会い、そ の答えを教えてもらいました。エクアドルの先住民族は先祖から伝わる知 恵を実践し、農作物を植えています。一番驚いたのは、彼らが自然に合わ せて、サステナブルな方法で農業を行っていることです。収穫の時期を予測し、土へのダメージが少ない種を見分け、有機肥料を使います。先住民 のなかには、土壌の状態を見て、収穫の良し悪しを言い当てるすべを知る 人さえいるのです。

生態系のサステナブルな利用を促すため、私は先祖の知恵をさらに研究 し、大学のクラスメイトや先生たちに伝えてきました。私の夢は、このこ とを世界中の人たちに伝えることです。世界に先住民たちの実践を知って もらい、生物多様性を守るために役立ててもらいたいと願っています。未来は私たちにかかっています。私たちは一つの世界として、力を合わせる ことができます。自然を尊び、自然とともに生きるために。

この本が夢をかなえる一歩となりますように。

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