リーダーになるのに若すぎることはない

私たちの多くにとって、子ども時代を過ごすことは容易ではありません。 カンボジアのような、大量虐殺や数十年にわたる内戦に引き裂かれた途 上国に生まれ育ったら、なおさら困難です。私が子どもの頃は、住居や食糧、教育、その他の基本的ニーズは、一部の人が手にする真の特権でした。 しかし「夢」を持つことは、お金のことは気にせずできる数少ないことだったので、私は夢を見ていました。今では、たくさんの夢があります。生 涯にわたる夢は、若者たちが奮起し、リーダーとして力を持てる世界をつくることです。

人を導き、奮起させ、力を与えるには、まず自分自身から始めなくてはならないと私は信じています。そして、教育に勝る手段はありません。 私は貧しく、助言も得られなかったので、質の高い教育を追い求めるの はとても大変でした。しかし、一生懸命粘り強く勉強し、1 7 歳のとき初 めて海外から奨学金を受けました。このことが私の人生の軌跡を大きく 変えてくれたのです。それ以来、世界で学び、働き、6 0カ国以上を旅してきました。私はこれまで助けてくれた人たちに感謝し、ずっと恩を忘れ ないでしょう。だから、出会う人々や地域にポジティブな変化をもたらし、 恩送りすることが、私にはとても大事なのです。学生リーダーとしての 活動から、マルタ赤十字難民センターでの英語講師ボランティアまで、 私は精いっぱい恩送りし、困っている人を助けようとがんばってきました。

大学を卒業し、カンボジアに戻った後、24 歳で官僚として働き始めま した。子どもの頃からの夢をかなえることが私の最優先事項だからです。 これまでの知識を生かして、カンボジアの経済・貿易関連の政策を形づくっ ています。ゆくゆくは人々の生活水準の向上や、国の成長と発展につなが るでしょう。さらに若い世代に自分の経験を伝えたいと思い、地元の大学 で教えています。私は学生たちに、仲間を助けて、いつも恩送りをするよ う励ましてきました。特に意見をめったに聞いてもらえず、夢をかなえる のが難しい若者を助けるよう勇気づけています。

私の夢はまだまだ続きます。若者たちが最大限に活躍できる理想の世 界は、若者自身がリーダーとなって導く世界だと心から信じています。 だから若いみなさんが、人生のなかで直面するかもしれない逆境に負けず、 学び続け、成長し、役に立ち、粘り強くやり抜くことが重要です。そして、 いつも忘れないでください。リーダーになるのに若すぎることなど、決してないのだと。

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