18 億人の若者の力

2 019 年 10 月、私の故国では汚職に抗議する全国的なデモが行われて いた。クリーンな新政府を求めて、人々は平和的に行進したのだ。彼ら が望んでいたものは基本的人権だけ。その権利は、彼らの人生の大部分で認められていない。しかし、この試みをひどい暴力が出迎えた。戦争で 用いられるような武器や実弾が使われ、数百人が命を落とし、数千人が負傷した。

1 0 月 29 日、私はガス避けのマスクを身につけ、イラクの国旗を持って、バグダードのアル・タハリール広場に向かって行進した。正直なところ、 私は抗議には参加せず、ガスマスクを人に渡そうとしていただけだった。

ニュースに注目していなかったから、この反乱は何に忠誠を誓ったものな のか、真の意味をまだ理解していなかったのだ。なので、広場を飲み込む 恐ろしい煙雲を見たとき、ショックを受けた。数時間後、私たちは広場 から引き上げた。ベッドに横たわっていると、すべての出来事が頭に浮かんでくる。旗を身にまとった人々、けがをした人々を、あちこちで見た。 その夜は全く眠れなかった。

その後、広場に戻ると学生たちが抗議をする人々のために進んで働き、 医学生は傷ついた人々の治療に当たっていた。若者と同じように抗議し ている年配の人々も見かけた。私たちのコミュニティでは、年齢や性別に 関係なく、一人ひとりが自ら抗議行動に参加し、自分たちの声と行動に よって、社会に変化をもたらす革命を支えることができるのである。その革命を過去形で語らないだろう。なぜなら、それは永遠に続くものだから。 革命は同胞を愛し、平和な生活を求めること、その他にも多くを教えてく れた。腐敗した政治を変えられなかったかもしれないが、何千人もの若 者を変えることはできたのだ。

自らの声に突き動かされ、若者が社会の変化をリードしていく姿に魅了 された。私は医学生であり、IFMSA※ 2 のイラク支部でチームリーダーと して革命の 1 年以上前から人道的な活動をしてきたが、その出来事はそれ まで自分が経験したこととは全く異なり、もっとがんばらねばと背中が押 されたように感じた。

若者世代が史上最多になっているという事実があるからこそ、より良 い世界が将来私たちを待っていること、若者が平和な世界をもたらすと いうことを私は信じている。そんな日を生きて、実際に見ることが私の 夢だ。そんな日が 1 日でも早く来るように、若者たちに力を与えられるように努力していきたい。18 億人いる私たち若者はアイデアであり、夢 であり、行動そのものなのだ。

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