私の祖国である南スーダンは、国連加盟国中で最も貧しい国の一つで す。2 011 年 7 月 9 日にスーダンからの独立を達成したとき、これでようや く私たちは、自分たちの針路を自分たちの責任において決められるのだと考えました。ところが、政治家たちはこの国を無意味な内戦へと引き戻し、 私たち市民を呆然とさせました。何千人もの命が奪われ、何百万もの人々が近隣諸国に避難を余儀なくされ、さらには数千もの人々が国内避難民と して国連の民間人保護施設に避難することになりました。石油収入と外国 からの援助だけに頼っていた南スーダンの経済は破綻し、何百万人もの 人々が絶望的な貧困と飢き 饉きんに見舞われました。2018年に和平協定への署名が行われたにもかかわらず、依然として高インフレが続いています。
さらには、企業による石油採掘によって、南スーダンの自然環境は極め て劣悪な汚染状態にあります。さまざまな種類の有毒化学物質が水域に流 れ出し、それが生態系を破壊し、人間と動物の両方の命をより大きなリス クにさらしているのです。特に妊婦への影響は深刻で、早産の増加から奇 形の赤ちゃんがしばしば生まれています。また、飲料を含め化学産業もま た大きな汚染源となっています。プラスチックを大量に生み出しているものの、適切に処理されず、それがいずれ川に流れ込み、水生動物を殺し、 水を安全ではなく使用できないものへと変えているのです。さらに、こう した産業からの排ガスやプラスチックの不適切な燃焼は、地球温暖化の一因にもなっています。 マケレレ大学で工業化学を専攻している私はこうした悪習と闘い、この国を助けたいのです。
マケレレ大学で学位を取得した後は、南スーダン国 立標準局(S S N B S )や環境当局で働き、環境を監視し、安全を確保できるよ うにしたいと考えています。私はまた、仲間たちとともにSOUTH SUDAN CHEMICAL SOCIETYという機関を立ち上げる計画を進めています。 この機関では環境への化学物質の流出を抑制したり、化学産業界で働く若 き専門家を養成したり、経済の活性化についての研究を重点的に行います。
私が想い描く理想の南スーダンは、人と人だけでなく、人と環境が調和 している国です。現在、私の国は「国民が幸せでない国」の上位 10カ国 のうちの一つに位置づけられています。イノベーションを起こし、国全体 の経済を大きくするための環境を生み出し、国民みんなが幸せに暮らせる ようにすることが私の夢です。