ガイアナは、先住民族の言葉で「豊かな水の土地」を意味します。南ア メリカで唯一英語を公用語とする国です。合計六つの民族(先住民族系、 アフリカ系、ヨーロッパ系、東インド系、ポルトガル系、中国系)が住む 文化的に多様な国であると同時に、民族間の偏見によって分断されてきま した。民族差別は、私たちの国の歴史に深く根ざし、貧富の差を生み出しています。
私自身はアフリカ系です。そして実は、人口の大部分を占めるのはアフリカ系と東インド系であるにもかかわらず、差別を受けるのは主にアフリ カ系なのです。成功のチャンスを得られるかはネットワークによるところ が大きく、たくさんのアフリカ系ガイアナ人はこうしたチャンスを奪わ れていました。しかし、私は幸運なことに、中流層に生まれ、現在では 歯科医として働いています。面と向かってひどいことを言われたり、あ からさまに差別的な扱いを受けたりしたことはありませんが、まわりの 人は直面する民族差別の根強さに悩まされてきました。私にとって一番き つかったのは、「アフリカ系のなかでは教養がある」と言われたこと。思 い出すたびに心が沈みます。
ボランティア活動を始めたことで、さまざまな人に出会い、貧困、ジェ ンダーに基づく暴力、人種差別、不平等など、自分が知らなかった過酷な 「社会悪」の存在にも気がつきました。教会の青年団、Global Shaper Community や VOICE などにかかわってきましたが、地域社会や国、世 界を発展させるためのアイデアを共有、実行するのを支援する枠組みに 参加することで、大きなアイデアを持った若者がいかにインパクトのあ る変化をもたらすことができるかを目の当たりにしました。それが私の原動力となっています。 私は、目を大きく開いてより良いガイアナを夢見ています。この国の標語である “One People, One Nation, One Destiny”(一つの国民、一つ の国家、一つの運命)が現実のものとなっているガイアナ、民族に優劣を つける言説を断固として拒絶し、愛と団結の歴史に書き換える場所です。
「一つひとつの小さな仕事がやがてダムをつくる」ということわざがガイ アナにもあります。どれほど小さな努力でも、諦めることなく積み重ねて いけば大きな変革が起こります。どの民族も支配されることなく、一つ になったガイアナをこの目で見る。これが私の夢です。私たちは、声を 合わせて平和と調和を訴え続け、夢を現実のものとするのです。