「英語はできるのに…」と悩む企業へ。 2026年、真のグローバル人材は「いい違和感」を楽しむ。

WorldRoadコラムは、グローバル・ローカル、様々なプロジェクトをする中で閃いたトピックを深掘りし、調査や公開情報、データ、事例などをまとめています

社内で語学研修を進めている、英語が話せる社員も増えた。

それでも、海外市場で通用する新規事業は生まれない——

そんな風に感じていませんか? 

そもそも、「グローバル人材」とはどんな人材なのでしょうか?

AIの進化やビジネスの複雑化が進む2026年において、求められるグローバルな素質は大きく変化しています。

 従来のスキルセットだけでは越えられない壁と、それを突破するための「マインドセットの再定義」について紐解いていきます。

これまでの「グローバル人材=英語力・交渉力」という神話の限界

グローバル人材というと、英語が堪能で、海外の企業と交渉ができる人材をイメージする方が多いのではないでしょうか。

確かに英語力や交渉力は今でも重要ですが、それだけでは越えられない壁が立ちはだかっています。

VUCA・AI時代のスキルシフト

WEF(World Economic Forum)のレポートによると、2030年までに現在のスキルの約39%が変化すると予測されています(WEF 2025)。

AI、ビッグデータ、サイバーセキュリティといった技術スキルの成長が見込まれる一方で、意外にも人間的、社会感情的なスキルの重要性が高まっています。創造的思考力や、レジリエンス(適応力)、柔軟性、機動力、さらに好奇心や生涯学習意欲が今後重要性が高まるスキルの上位にランクインしています。

さらにOECDの調査によると、マネジメント領域では財務やプロジェクト管理、事務業務といったスキルの需要が、相対的に低下する傾向があることが指摘されています。これはいわゆるホワイトカラーのオフィスワークのAIへの代替が進むことが予想されているということです。

一方で、調整力、コラボレーション、共感力といった人間ならではの対人スキルのニーズが増していると分析しています(OECD 2025)。

日本企業のグローバル人材枯渇感

日本企業に目を向けてみると、世界平均を上回る約78%の企業が人材不足を感じているという調査結果があります(マンパワーグループ 2023)。

特にグローバルに戦える人材の不足が経営課題の重要事項として浮上しており、これまでの「語学力+α」の育成方針だけでは、もはやグローバル市場で戦えないという危機感が広がっています。

脱・語学力偏重

もちろん英語力や論理的思考力は、グローバルで活躍する人材にとって今なお、重要なスキルであることは変わりません。

しかし、そうした従来のスキルに加えて、今後は人間的なスキルとの掛け合わせが必須となってきています。(WEF 2025)

2026年に真に求められるグローバルスキルは、「いい違和感」を楽しむ『共感力 × 越境力』

グローバル展開を見据えたとき、社会的な背景や、置かれた状況、文化的な多様性への対応は避けては通れない課題です。そうした多様な価値観のなかで働き、価値を生み出すためには、どのようなスキルが必要となるのでしょうか。

多様性の光と影

組織が文化的な多様性を持つことには、一つの考え方の枠にとらわれない視点を得られるという利点があります。ある文化での「当たり前」から抜け出すことこそが、イノベーションの「触媒」となるのです。

しかし、考え方の違いはコミュニケーションの複雑性を高め、必ずしも良い結果をもたらすわけではありません。英語が通じてもコミュニケーション方法や価値観の違いから、誤解や対立が生まれることも少なくありません。

特にバーチャルのコミュニケーションが増えた現代では、その傾向が顕著になっています。(ResearchGate 2025)

鍵となる「いい違和感」と「越境力」

こうした難しさのなかで、グローバル人材が身につけるべきスキルとは何なのでしょうか。

英語でのコミュニケーションやロジカルシンキングといったスキルは重要です。

その上で、グローバルで活躍する人材に求められるのは、自分と異なる価値観を持つ他者と出会ったときに、それをストレスと捉えるのではなく「いい違和感」として楽しめる資質なのです。

こうした資質は、学術的には「文化的知性(Cultural Intelligence = CQ)」と呼ばれます。

多様な文化的背景が交わる環境において、適切に理解し、適応し、効果的に活動できる能力を指します。

この文化や国といった枠を越えて違いを楽しむ「越境力」こそが、多文化チームでの活発なコミュニケーションや協働を生む原動力となるのです。

日本企業における「共感力」の重要性

もう一つの重要な要素が「共感力」です。

これは学術的には「感情的知性(Emotional Intelligence = EI)」と呼ばれ、「自分自身と他者の感情を正しく認識、理解し、それを管理・調整する能力」のことです。90年代に提唱され、ビジネス領域でも注目されるようになったこの能力は、リーダーシップやチームビルディングにおいて重要な要素として認識されています。

2024年の国際研究によると、多国籍チームではこの感情的知性(EI)と文化的知性(CQ)の統合が重要であると指摘されています。(Springer Nature 2024)

研究では、日本や中国のような集団主義的な文化を持つ文化では、個人よりも集団を評価するリーダーが、より効果的に従業員をエンゲージすることができると指摘しています。

また、日本は不確実性回避の傾向が強い国でもあり、従業員は明確な指針や組織化されたサポートを好む傾向があります。

このように、文化的な傾向を理解したうえで、相手の感情の機微を把握し、適切な対応をとることで、チームのパフォーマンスを高めることができるのです。

つまり、「相手の心に寄り添う共感力(EI)× 違いの中に飛び込む越境力(CQ)」の両方を併せ持つことが、グローバルリーダーシップに不可欠な資質となるのです。

リアルな「世界中の”これまで出会ったことのない人”」との越境体験がマインドを変える

実際にグローバル人材を育成するため、共感力や越境力を高めるにはどうしたらいいのでしょうか。

まずはそうした知識を得ることが必要になりますが、座学だけではなく経験することが重要です。なぜなら、文化的知性(CQ)を高めるには、「正しい知識を教える」よりも「リアルな体験学習」が有意に効果が高いという研究結果があるからです。(Frontiers in Education 2024)

海外先進企業が注目する「越境・体験学習」アプローチ

こうした越境適応力とでもいうべき力を高めるためには、どのようなアプローチがあるのでしょうか。

海外の先進企業では、社員のEIやCQを高めるために、越境体験を積極的に取り入れています。 実際の事例を見ていきましょう。

選抜した社員をNPOや社会起業家のもとに派遣し、社会課題の解決に取り組むプログラムです。 社会課題の解決を通じて、リーダーシップ能力やグローバルな視点を得る「変容」の機会となっています。

Googleの社員が、フルタイムの慈善活動としてNPOなどを支援するプログラムです。 単なる寄付や表面的なCSRではなく、困難な技術的課題を解決するために、スキルを投入するという設計になっている点が特徴です。

エンジニアの使命は技術を作ることだけではなく、現実の課題に向き合うことであるという意識変容を促す価値観を体現しています。

韓国ソウルに本社を置く世界的な総合家電・情報通信メーカーであるLGエレクトロニクスでは、従業員の国際異動を促進する「Foreign Service」プログラムを運用しています。異なる文化背景の候補者を経営職に登用するなど、多文化背景を持つシニア人材をグローバルに配置する仕組みも用意しています。

さらに、拠点でも異文化プログラムを実施するなど、グローバルマインドを組織文化として根付かせる取り組みが行われています。 

アウトドアブランドのパタゴニアでは、社員が最長2か月間、通常業務を離れて世界各地の環境NGOで就労できるプログラムがあります。プログラム開始以来多くの社員が参加し、直近の実績では34名、12の店舗、1つの部署がプログラムを利用して、43団体で約10,000時間のボランティア活動を実施しました。社員が全く異なる環境・ミッションの中で働く「越境体験」を組織的に提供することで、サステナビリティへの意識を職場全体に浸透させる機能を果たしています。

ソーシャルメディア管理ツールのスタートアップBufferは、社員数約80名・世界23カ国に分散した完全リモートのグローバルチームです。小さな組織ながらグローバルチームを実現するために、給与情報の全公開や経営指標のリアルタイム共有など「極度の透明性」を文化の核に置き、異なる文化・タイムゾーン・バックグラウンドを持つメンバーの信頼とインクルージョンを維持しているといいます。組織の設計次第では、日常の協働で、越境対応力を養うことも可能かもしれません。

越境体験の機会としての「サステナビリティ×教育」

自社の社員をグローバル人材へと変革を促すには、語学研修や座学だけでは不十分です。

必要なのは、「これまで出会ったことのない価値観」と向き合い、自分の前提が揺さぶられるような越境体験です。

世界中の人々とつながり、自分の常識が通じない環境に身を置くこと。

英語を話せることはもちろん重要ですが、それ以上にリアルな課題の当事者や解決実践者に出会える体験こそが、マインドセットの変容を生み出します。

先進的な事例の多くは、グローバルな組織基盤を持つ大企業が中心です。では、限られたリソースでは、越境体験を取り入れるのは難しいのでしょうか。自前でプログラムを持つにはリソースが足りない企業や、リソースはあってもまずは試してみたいという企業では、外部の越境体験プログラムを使うのも選択肢の一つです。

私たちのソリューション・越境体験

World Roadでは196+カ国のサステナブルリーダーの夢を集めた書籍『WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs 』の出版や当World of Story-WE HAVE A DREAM-の運営を通じて、各国の社会課題の当事者や解決実践者とのネットワークを構築してきました。

このネットワークを活用した、リアルな課題の当事者に出会える越境体験を提供しています。

AI同時翻訳付きで世界の講義が聞ける越境体験プログラムは、共感力(EI)× 越境力(CQ)を同時に高めることができるプログラムです。

本プログラムでは、世界中のリーダーと直接つながり、自らのテーマや問題意識を英語で発信し、フィードバックを受ける越境体験を、企業・学校問わず提供しています。

▼プログラムの様子はこちら

例)海外派遣前研修

世界22ヵ国が繋がる!ートビタテ!留学JAPAN 16期事前研修ー

例)企業講演 AIを題材に登壇したルーマニア出身のLupuさん

AIはサステナビリティの力になれるのか

例)法政大学主催中高生向けサマーキャンプでのセッション

世界と語る「理想の学び場」とは?

言語の壁や文化の違いに戸惑う瞬間も含めて、そのすべてが「いい違和感」となり、 感情的知性(EI)と文化的知性(CQ)を同時に引き上げていきます。

単なる知識習得ではなく、「自分の前提が変わる」体験。

それが、次世代のグローバルリーダーに求められる越境適応力を育てます。 次世代のグローバルリーダーに必要な「越境適応力」を養う機会がより社会に増えることを信じて。


▼ 企業向け研修についてはこちら

https://www.worldroad.org/training

【引用・参考】

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