誰もが手頃な価格で利用しやすい眼科医療を実現するという夢に向 かって、私は毎日働いています。
失明と視覚障がいをなくすことに、私は強い情熱を持っています。な ぜなら私は、それがどれほど永遠に人生を変えてしまうのかを見てきたか ら。15 歳のとき、姉は視力の問題を抱えていましたが、検眼医不足と眼鏡が高額だったせいでできることは限られ、両親には眼鏡を買う余裕が ありませんでした。当時、眼鏡は 700ターラ(約 275 米ドル。日本円で 約 3 万円)。最低賃金が時給 2 ターラ以下だった時代です。これでみんな はどうやって眼鏡を買うことができるのだろうかと、私はいつも不思議に思っていました。 弱視は患者本人だけでなく、彼らの家族、広範囲では社会全体にとっても大きな負担となります。子どもの失明は成長、学習能力、自尊心に、大 人の場合は行動能力、自活する能力、職業機会の制限、生活の質の低下な どに影響を及ぼします。
姉の苦しみを見て、視力に問題を持つ人々を助けることが私の人生の 使命になりました。私は奨学金を受けてニュージーランドで検眼学を学 び、2012 年に、我が国の歴史における初の検眼医として帰国しました。 私は国立病院にて最大のインパクトを与えるべく、7 年間で何千人もの患 者を診察し(ほとんどの人々にとって初めての検眼でした)、各地域で視 力スクリーニング検査を実施するため、支援者や NGO とともに働きました。そして、フィジーでは講師として、技術と知識を次世代の眼科医療 専門家たちに伝えてきました。
サモアは、子どものための視力スクリーニング検査や眼鏡に対する政府 による助成金といった、眼科医療プログラムがすでに整っている国々と は違います。私たちの国は第三世界の国であり、財源が十分ではありま せん。しかし、私は夢を達成するために、もっと多くのことができると 感じていました。それで 2 019 年、公共セクターと民間セクターで働き学 んだ教訓を生かして、社会的事業 Samoa Eye Care を始めました。1 年間にわたって、何百件もの視力検査を無料で実施し、子どもたちや恵まれ ない人々に無料で眼鏡を供給しました。また私たちは、教育キャンペーンを実施し、眼鏡の価格を下げました。
私は、誰も視覚障がいに苦しむ必要のない未来を信じています。私自身が奮起し、情熱ある人々や組織と協力し、自分たちの人生や家族、社 会における目の健康の重要性についてあらゆる人に教育する責任を負って いるように、それは個々人の努力から始まるのです。