私の名において不正義がなされない世界

アメリカで育つと、他国と同様、学校で歴史を学びます。私たちの国が 奴隷制度と不平等の上に築かれたことを学びますが、それだけではなく 成長し、変化し、誇りに思うに値する国になったことも学びます。

しかし、アメリカはひとりでに成長し、変化したわけではありません。 フレデリック・ダグラス、アイダ・B・ウェルズ、キング牧師、セザール・チャベス、アンジェラ・デイビスといった勇敢な活動家の挑戦を受けて 初めて、アメリカは変わってきたのです。私もまた活動家であること、 先人たちの道をたどれることに誇りを持っています。彼らのように、私 は人種差別、性差別、刑務所や刑罰のないアメリカのために、優しさとコミュニティを何よりも大事にするアメリカを勝ち取るために闘っています。 難民の権利を求める集会、警察の暴力に対する抗議、気候変動に対し て行動を起こすための行進に参加してきました。性的暴行を受けた学生へ の支援を、自分の大学に訴えました。不正について声を上げることはいつ も生易しいものではありませんでしたが、闘わなければ自分が夢見る世界が現実にならないことを知っています。
私は、2020 年に催涙ガスを製造している工場に抗議して逮捕された 5人の活動家のうちの 1 人でもあります。この会社の催涙ガスはアメリカそ して世界で、抗議活動の鎮圧に使われています。実際、私がパレスチナの ビリンで 2 017 年に出会った家族のうち 2 人が、この催涙ガスで命を落と しました。私の税金と私の名においてここアメリカで行われていることは 地球上のあらゆる場所の人々に影響を与える可能性があると、その経験 は教えてくれました。私の名において不正義がなされるとき、声を上げる責任が私にはあることを教えてくれたのです。 私の夢は平和、正義、幸福という、世界中の人々の夢と同じです。しかし、不正義のない世界を夢見るだけでは不十分。行動を起こし、実現し ないといけません。ときどき「あなたは勇敢だね」とか「あなたと同じよ うにはできないよ」と言う人がいます。本当は私だって怖くて、怒ってい て、悲しくて、何も変えられていないんじゃないかと不安になります。で も、大なり小なりみんな闘うことができます。

最初のステップは、自分の行動が変化をもたらすと知ること。あなた の話をすること、友人や家族に話すこと、お金を寄付すること、抗議活 動に参加すること、職場で声を上げることは変化をもたらします。誰でも活動家になれるんです。私たちがしなければならないのは、決断するこ と。それだけなんです。

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