ラテンアメリカに善い統治を

私の夢は、ラテンアメリカに強力な制度と善い統治を築くことです。 私は中央アメリカにある活気に満ちた小さな国、エルサルバドルで生まれ 育ちました。祖国を愛するとは、その美しさを称えると同時に欠点を認め、 改善しようと懸命に取り組むことだと早々に気づいたのです。

エルサルバドルやこの地域全体は、蔓延する貧困や暴力に苦しんでいます。繁栄を目指すには、平和・正義・強力な制度の実現が重要なステップ だと思います。だから私は、国際情勢を学ぼうと決意したのです。エルサ ルバドルでは普通は選ばない進路だったので、私はカナダに移り住み、ゼ ロから始めなくてはなりませんでした。ですが、心から望んだことを学べ る大学での一瞬一瞬は、喜びと成長し続けたいという想いでいっぱいでし た。今は政府間機関、シンクタンク、NPOと協力して、ラテンアメリカ の民主的な制度を強化すべく働いています。

私が夢見て取り組んでいるのは、説明責任が果たせて、透明性の高い効 果的な制度を築くこと。バルサモの木※ 9 のように深く強い根を持ち、独 裁者たちや支配的な利益団体の嵐のような試みにもじっと耐えうる制度です。

私が夢見て取り組んでいるのは、真に民主的な政府を築くこと。過去の過ちを自覚し、すべての人、それは老若男女、富める者、貧しい者、ムラー ト、メスティーソ、インディヘナ、アフロラティーノ、コーカサスに公正な代表権を与え、誤りを正す覚悟のある政府です。 私が夢見て取り組んでいるのは、ジェンダーによってチャンスが決まったり、安全や自由、自主性が奪われたりしない、ラテンアメリカを築くこ とです。女性リーダーが活躍し、あらゆる意思決定のプロセスで豊かな存 在感を発揮するラテンアメリカ。そこには、女性たちの無限の可能性を抑 えたり、尊厳を侵害したりするような不公平な仕組みも固定観念も制度的な免責もありません。

私が夢見て取り組んでいるのは、エルサルバドルとこの偉大な大陸に住む兄弟姉妹たちが、国際社会の立派な一員となることです。私たちの美し い輸出品、すなわち文物、芸術、食、アイデアが、地球の隅々に恵みを与 えることによって。私が夢見て取り組んでいるのは、今蔓延する外来者恐 怖症によって国際的に中傷を受けている私たちのパスポートが、他の国々 から尊重され、私たちの誠実な仕事が歓迎されるようになることです。

私は幸運にも、夢見て取り組むことができています。しかし、国境で不 当な目にあっている兄弟姉妹たちに同じ権利と尊厳が与えられるまで、決して休むつもりはありません。

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