若者たちの創造力を解き放つ

発展途上国のイランで育った僕は、自分で体験しないと説明するのが 難しい、ある現象を見てきました。創造性の不平等です。これは独創的 なアイデアをつくり出すチャンスの不平等と定義できます。僕は誰もが 平等に能力を持っていると信じていますが、チャンスへのアクセスの不平等が人々を隔てているのです。

現代の経済システムでは、購買力のある人の意見や能力だけが考慮さ れます。今日、世界人口の 80%以上が 1 日 10ドル未満で生活していて、 彼らは数の上では多数派なのに、発言力や影響力、チャンスでは圧倒的 に少数派です。これは先進国と途上国のデジタル格差を見れば明らかです。 38 億以上の人々にいまだにインターネットがなく、つまり限られた知識 やツールしか得られず、独創的なアイデアを生むチャンスが制限されているのです。彼らにはインターネット上で自分の考えを述べ、人と共有する 権利もないのです。この不平等によって才能が無駄になり、世界の差し 迫った問題への貢献も失われています。

僕の夢は、世界中の若者たちにツールとチャンスを提供して、彼らの 創造力を解き放つことです。そのために、26 歳で The People を立ち上 げました。世界中の若いクリエイターたちによって支えられるソーシャルビジネスです。僕たち独自のビジネスモデルは、若者たちがさまざまなブ ランドとコラボレーションし、技能を磨き、そして貢献した分の報酬を得 られるよう機会を提供しています。例えば、BBC とコラボして、若いク リエイターやプログラマーたちと未来のデジタル・コンテンツを共同制作 するのを手伝ったこともありました。

若者たちが、以前なら不可能だと思い込んでいた高みに達するのを見る と、本当にワクワクします。今後 10 年の間に、活動の影響を拡大し、100万人の若者たちにクリエイティブなチャンスを与えたいと考えています。 そうしたら誰もが自分の運命を自分で切り拓くことができるようになるで しょう。

僕の究極の夢は、児童労働をなくすこと。子どもたちは大人よりもクリ エイティブで、好奇心でいっぱいなのに、児童労働はその無限の創造性を押さえつけているからです。間違いなく深刻な創造力の損失でしょう。 だから僕は最後に言いたいのです。

「子どもたちを遊ばせてあげてください!」

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