惑 星 は 家 、 人 類 は 家 族

モルドバは、私が生まれるわずか 4 年前の 1991 年に独立した、とても 若い国です。人間で言えば「10 代に入ったばかりの子ども」みたいな国なので、そのアイデンティティを見いだすのに苦労しています。

独立前のモルドバはソビエト連邦の一部でしたが、さらにその数十年 前はルーマニアというはるかに小さい国の一部でした。歴史をさかのぼると、ローマ帝国、トルコ帝国、オーストリア・ハンガリー帝国、ロシア 帝国などの大国が、領土と権力をめぐってこの地で争ってきました。

領土が侵略されたときには、しなやかに適応し、成長してきました。そ して言語と文化を発達させました。今日、私たちは異なる文化、言語、習 慣、背景といった荷物を抱えながら、独立した国として自分たちのアイデンティティを定義するのに苦労しているのです。 政治的事情を背景に抱えて私は育ちました。常に西側と東側の間で戦いがあり、どうしていずれか一方を選ばなければならないのかが理解でき ませんでした。地中海沿岸に押し寄せたシリア難民にどう対処するか、モ ルドバでは大きな議論が巻き起こりました。

私の家族の多くは、海外にいます。より良い暮らしを求めて国を離れ、 代わりに見つけたのは地元の人々から差別された暮らしでした。例えば、 祖母はイタリアへ渡り、高齢者の介護をしていましたが、年中無休で働 いても社会保障を受けられずじまい。私も留学先で多くの固定観念に直 面し、出自や価値観など私自身を理解しようとしてくれない人にたくさん出会いました。でも、このおかげで特定の国のルーツに縛られないアイ デンティティを獲得できました。現在のような分断されたものではなく、美しく多様性を内包した一つの場所として世界を見るのを助けてくれま した。

地球という惑星は、私たちが集う家です。私たちがどこに住んでいよう とも、人類という家族の一員です。だから、他の人の苦しみは、私たちの 集団の苦しみでもあるのです。自分たちの違いを受け入れ、連帯感を抱く 世界を、私は夢見ています。真の平等を実現するためには、最も弱い立 場にある人たちに優位性を与える必要があります。競争から協力へ、利 益の追求から目的の追求へ、対立から理解へと価値観をシフトさせたとき、世界は愛と尊敬と寛容の場所になるでしょう。

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