サステナビリティでつくる中東の平和

中東には、常にこの地域とここに暮らす人々を取り巻く偏見があります。 戦争で引き裂かれ、紛争が渦巻き、宗教が何よりも力を持つと。しかし、それは真実ではありません。中東は文化、人々、自然、風景、都市、他に もいろいろな点で、多彩なものに満ちあふれています。メディアで紹介されているような、悪や恐怖に覆われているわけではないのです。

シンガポールで育った私は、ずっと国際人に囲まれていました。16 歳 でいよいよイスラエルへ戻ってきたとき、EMIS※ 1 という国際高校へ進 学することにしました。この学校は、中東の平和とサステナビリティという目標を持ち、新しくて他に類を見ない実験的な学校です。さらに、 同じような目標を掲げ、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンの環境活動 家で構成された EcoPeace MiddleEast という N PO でインターンシップをすることになりました。

高校を卒業した後、私は義務である兵役生活を 2 年間送りました。イスラエル兵に命を傷つけられたパレスチナ人の友人たちと一緒に勉強した 後、強制的に軍隊に入れられるのはとてもつらかったです。一歩前進と いうより、一歩後退しているように感じましたが、イスラエルもパレスチナもいつも互いに敵対しているのではないと知ることもできました。 こうした経験を経て、今、私は、中東で平和を実現するのは不可能では ないと信じています。しかし、そのためには、中東に暮らすみんなが受け 入れられる集団的な目標が必要です。

こうした目標の一つとなるのが、水 不足などの環境問題に取り組むことだと思います。この地域は基本的に砂漠のようなので、これはみんなが一番関心を持っていることです。EcoPeaceMiddleEast は水の枯渇問題に対処するため、紅海から死海ま でのパイプライン建造に取り組んでいます。環境問題に一緒に取り組むこ とは政治 ・宗教 ・民族の違いを超えた相互理解につながり、世界平和の実現に役立つということを目の当たりにしてきました。そのための第一歩は真の理解に焦点を当てた適切な教育であり、それを中東全域に広め ていかないといけないと思います。

私の夢は、誰もが自分の宗教や肌の色や歴史とともに心地良く暮らせる、中東がそんな場所になること。中東の平和は困難に思われるかもしれないけれど、必ずしもそうではないと思います。人々が互いに親しくするこ とを想像するのは大変なことではありません。だって、それはすでに毎日行われていることなのですから。

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