侵略ではなく共創しよう

母がよく言っていました。「地球の支配者なんていない。だけど、誰も が意味のある存在なのよ」と。今、わたしはそれが二つのことについて言っ ているんだと分かりました。平和と環境です。わたしの夢はこの考えに沿っ たものです。大都市の市民が自然と調和しながら暮らせるように、すべて の生き物が平等で、わたしたちの共通の幸福のために必要であると知ってもらえるようにお手伝いしたいのです。

わたしはウクライナのドニプロという町で生まれました。深い湖、広大な川、森に覆われたカルパチア山脈……緑豊かな美しい国で、変化に 富んだ絵画のような風景が広がっています。でも、学校の教科書で勉強 したすべての植物や動物たちに出会わないのはなぜなんだろう? そう不 思議に思っていました。ほんの1 0 0 年前、ドニプロ川には魚がたくさん いて、森には植物や動物たちが豊富にいたそうです。それなのに、現在では絶滅の危機に瀕していてレッドブックにも掲載されています。

この40年間、わたしの国では製造業が盛んでした。人々はより多くのお金とエネルギーを必要とし、自然からすべての資源を奪いました。その結果、 わたしたちは、あらゆる面で生物の多様性を見失ってしまったのです。そうして気候変動に影響を及ぼし、死亡率や病気にかかる可能性が高まっています。

幸せな生活に必要のないものを過剰に消費し、過剰に生産することを どうやって止められるのかと、わたしは考えています。わたしたちのまわ りにある資源の利用について、より進歩的で衰えることのないアプローチ を形づくるため、一緒に行動できるはずです。人間の支配と経済の拡大が何年も続いた後、動物やすべての生き物が回復するのを助けるために、 わたしたちは一緒に行動できるはずです。

生態系汚染という課題に向き合い、既存の生物種をサポートするために、 わたしたちは都市の緑化プロジェクトを始めました。家族や友達と一緒 にドニプロ全体に緑化地区をつくり、人々をより良くつないでいます。

動物にえさをあげて人間と仲良くさせ、自然環境のなかで彼らのために 生活圏をつくるのです。新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス による外出制限は、人の活動だけでなく野生動物の行動にも影響を与え、わたしたちの活動を大きく 助けてくれました。2020 年 5 月、住んでいる地区で初めてフクロウやリスに出会えたのです。 わたしは公共の活動家になり、同じ学校の子たちや TikTokの友人たちがわたしたちの活動に参加してくれることがうれしいです。工業都市における自然の回復という夢をいつか実現させ、何百万人もの人々が動物 でいっぱいの緑の地で暮らし、動物たちは人類を侵略者ではなく、安全の源として見てくれるようにしたいです。

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