私の平和への旅が始まったのは、私が「ハイブリッド」だからです。 父はカトリック教徒、母はイスラム教徒です。私の国、フィリピンでは、マジョリティであるキリスト教徒とマイノリティであるイスラム教徒の 間で緊張が続いています。私の両親の結婚は珍しいもので、そのために 闘わなければいけませんでした。
幼い頃に暮らしていたザンボアンガでは、紛争やテロが多発していま した。でも、私は家のなかで二つの宗教が共存できることを見ながら育っ てきました。だから、家の外でだって平和を実現すること、他者を尊重し理解することができるはずだと思っていました。1 4 歳のときに両親とと もに Kristiyano-Islam Peace Library(KRIS)という組織を立ち上げ、紛 争の影響を受けていた地域に六つの図書館を設立しました。当初は不審 な目で見られることもあり、図書館へやってきてもイスラム教徒の子どもとキリスト教徒の子どもは互いに話すことをためらっていました。しかし、 時が経つにつれ、子どもたちは宗教や生い立ちが違っても、一緒に本を 読んだり、勉強したりするようになり、平和の礎となる友情を育んでい きました。私たちの図書館が象徴するものが、だんだんと受け入れられて いったのです。
テロ組織や過激派に参加する若者について分かったことの一つ。それは、 彼らには他に選択肢がないことです。教育を受けたり仕事を見つけるすべ がないのです。貧困が大きなハードルとなっています。私自身も奨学金をもらうことで、名門とされる高校で質の高い教育を受けることができまし た。だけど、私のようには学校に行けない子がたくさんいます。同じよう な機会をできるだけ多くの若者たちと共有したいという想いに背中を押さ れ、16 歳のとき KRIS の総合責任者となり、奨学金プログラムを立ち上 げました。奨学生たちは、これまで教師や看護師のほか、地元の政府審議 会の役員や青年団体のリーダーとなり、地域社会では平和の擁護者になっ ています。
平和への道のりは極めて困難なもので闘いを終えることはまだできま せん。私は今、世界中から集まった 9人の若いリーダーたちと一緒に Extremely Together を結成し、暴力的な過激主義を防止するためのアイデアを出し合っています。今、強大な力を持った国家元首や組織のリーダー たちの多くが、恐怖や不安を利用して紛争を引き起こしているのなら、 若者は逆の方向に進まなければなりません。戦争をする人たちよりも、 もっと強く、もっと大きな声で平和を叫ぶことが私たちの責任です。より 多くの若者が平和の擁護者、リーダーになることを夢見ています。