AIはサステナビリティの力になれるのか

私は子どもの頃から、常にテクノロジーに囲まれて育ってきました。インターネットが普及し始めた頃に成長した世代です。私たちの世代にとって、AIは特別に怖いものではなく、自然に存在するツールの一つです。日常の思考や仕事の進め方の一部になっています。

しかし最近、こう考えるようになりました。
このテクノロジーは本当に地球にとって良い方向に働いているのか。それとも、気づかないうちに問題を大きくしているのではないか、と。

AIとサステナビリティがうまく組み合わされば、社会の進み方を大きく変える可能性があります。ですが、現実はまだそこまで到達していません。むしろ課題は増え続けています。AIが急速に拡大する以前から、地球環境はすでに多くの問題を抱えていました。そして今、AIがそれを解決するどころか、負担を増やしている側面もあります。

たとえばエネルギーの問題です。
データセンターは大量の電力を消費しています。予測では、2028年までにAIがデータセンターの電力のほぼ半分を使用する可能性があると言われています。これはアメリカの家庭用電力消費のかなりの割合に匹敵します。しかも現在はまだ2026年であり、この数字は今後さらに増えると見られています。

問題は電力だけではありません。
AIのハードウェアにはレアメタルが必要ですが、これらは急速に採掘されており、リサイクル率は非常に低い状況です。推定では7%程度しか再利用されていません。また、データセンターの冷却には大量の水が必要であり、水資源が限られた地域では大きな課題になります。

私の住む地域でも、半導体に必要な鉱物を求めて古い鉱山が再び注目されています。これは新しい資源競争のような状況で、過去の資源争いを思い出させます。地域社会への影響も大きく、身近な問題として感じています。

AIの使われ方を見ていると、少しもどかしく感じることもあります。
たとえば画像生成AIが登場したとき、多くの人が言葉からアートやデザインを作ることに興奮していました。それ自体は素晴らしいことです。ですが、その後は膨大な数の画像が作られるようになり、その多くは使われることもありません。結果として、大量のエネルギーが無駄に消費されています。

動画生成ツールでも同じことが起きました。
サービスが公開されると多くの人が一斉に利用し、システムが重くなるほど負荷がかかりました。現在ではSNS上の投稿も似たようなAI生成コンテンツが増え、同じような文章やデザインが並び、ノイズのようになってしまっています。

私自身もAIを使ってアイデアを整理することがありますが、人間の思考を助けることと、すべてをAIに任せてしまうことの間には大きな違いがあります。

顔編集アプリや老化フィルターなど、娯楽として楽しむAIもあります。それ自体は悪いことではありません。ですが、もしAIの大半の計算能力がミームやジョークのために使われているとしたら、もっと社会的価値の高い使い方があるのではないかと思います。

一方で、AIが正しく使われれば大きな価値を生むことも確かです。
以前、私はペルーのアマゾン地域を対象とした技術プロジェクトに関わりました。水質データやレポートを分析し、汚染が深刻な地域を地図上で可視化する仕組みです。人間だけでは膨大なデータを分析することは困難ですが、AIがデータをつなぎ合わせることで、地域社会にとって重要な洞察を得ることができました。

このような体験を通して、AIが社会の役に立つ可能性を強く感じました。

視野を広げれば、AIには多くの可能性があります。

これらは単なるアイデアではなく、すでに実際に活用され始めています。

結局のところ、問題はAIそのものではなく、私たち人間の使い方にあるのだと思います。
サステナビリティは、人間がテクノロジーをどう扱うかにかかっています。

企業には専任のチームが必要です。
エンジニアは自分たちのサーバーがどの電源を使っているのかを理解し、無駄を減らす設計を行う必要があります。

消費者にも責任があります。
意味のないコンテンツを大量に生成したり、小さな計算をするためだけに巨大なAIモデルを使ったりすることは、エネルギーの無駄につながります。

AIを開発することと同じくらい、AIを慎重に使うことも重要です。

現在、AIは大きなブームの中にあります。
過去のテクノロジーブームと同じように、多くの企業が資金調達のための資料にAIという言葉を入れています。

しかし、もし単純なアルゴリズムの方が安くて効率的なら、AIを使う必要はありません。AIを無理に使うことは、貴重な資源を浪費することにもつながります。

さらに問題なのは、AIを過信するケースです。
法律文書の作成やコード生成など重要な業務にAIをそのまま使い、十分な確認をしないまま運用すると、後から大きな問題になる可能性があります。

私の考えでは、人間とAIの協働が最も現実的な形です。完全にAIに意思決定を任せる段階には、まだ到達していません。

最近の例として「OpenClaw」というオープンソースのAIアシスタントがあります。
このツールはメール対応やウェブ操作などを自動で行うことができ、WhatsAppやiMessageから操作できることもあり、GitHubで14万5千以上のスターを獲得するほど急速に注目を集めました。

多くの人が個人用AIエージェントに期待しましたが、セキュリティの問題が指摘されるようになりました。ユーザーがAIにコンピューターの管理権限(ほぼ完全なアクセス権)を与えてしまっていたのです。

AIの可能性に期待するあまり、基本的な安全性の確認が十分に行われていませんでした。この事例は、AIブームが安全性の議論を追い越してしまう危険性を示していると思います。

私たちに必要なのは、より賢いテクノロジーではありません。
すでにAIは十分に強力で、急速に進化しています。

本当に必要なのは、責任ある使い方と明確な目的意識です。

テクノロジーは、私たちの生活に自然に溶け込みながら、社会に負担をかけずに役立つ存在であるべきだと考えています。


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