「女性はうつむいて黙っているべき」「自分の幸せより文化や名誉が大 事。みんなの誇りになりなさい。」何度も言われたこういうお節介なアド バイスが、今でも心の奥底に残っています。私の祖国ニジェールでは、女 の子であることは楽しくありませんでした。心配性の母と危険な街の間で、 ほとんど家に閉じ込もって過ごすしかなかったのです。
小学校では、トゥアレグという少数民族であることと体重のせいでからかわれました。中学校では、学力の高い女の子だと侮辱されました。高校に入るまでには「白い牛」「肌の白いトゥアレグはレイプ犯、泥棒、汚い」 しんらつなどの辛辣な言われ様に耳が慣れてしまいました。その憎しみがどこから 来るのか分かりませんでしたが、歓迎されていないのは明らかでした。私 自身も自分のアイデンティティを笑うようになったのです。
高校生活後半の数年間で、私はついに故郷という檻お り から抜け出す機会を 手にしました。United World Colleges に応募し、アメリカのニューメキ シコで学べることが決まったのです。世界各地から集まった仲間と出会い、 故郷では怖くて話せなかった自分のアイデンティティを発見しました。私 の意見、感情、そして夢は重要だと言ってもらいました。視野はどんどん 広がっていき、他の女性たちについて、他のアイデ ンティティについて、そして人生を形づくる美しいモザイクのかけらについて、さらに多くを学 びました。
故郷を離れたことで、以前よりも故郷とのつながりを感じるようになり ました。私は今でも誇り高きトゥアレグ人、誇り高きニジェール人なので す。今度は私たちのことをもっと世界に伝えたいと思っています。ナイジェ リアと混同されたり危険な国として描写されたりするのは、もううんざり。
私の美しい国に数多くの問題があることは認めます。でも、私たちの計り知れない可能性を世界に示したいという私の夢は、祖国を悩ませる悪夢よ りはるかに大きなものです。
さらに、ニジェールの人々が世界に対して抱いている多くの誤解も分 かっています。社会における女性の役割、多様性、グローバル化などへの 誤 解 で す が 、 こ れ ら は 教 育 と グ ロ ー バ ル 社 会 と の 交 流 を 増 や す こ と で 、 う まく払いのけられると思います。これこそ、私が祖国にもたらしたいと夢 見ていることです。一番大きな夢は学校を開いて、そこで学業を教えるだ けでなく、多様な視点をもたらすことです。夢がかなったらニジェールの 女の子たちはもっと力を得て、そこから国全体の発展につながるたくさん の扉が開かれることでしょう。