エンパワーメントの輪を広げる

私は、役職も年齢もずっと上の方々とのハイレベル会合によく参加しま す。その場の最年少として意見を述べるときは特に、怖気づいてしまうも のです。若きプロフェッショナルにして若者たちのリーダーである私は、 今までに何度もこの状況を経験してきたので、ぜひとも変えたいのです。

私の旅が始まったのは、15 歳のとき。父が汚職事件で失職しました。

直接は関与していませんでしたが、つらいことに激しい批判を浴びました。 家族の暮らしが一変した後、私は Youth Against Corruption Association(青 年汚職防止協会)という地元の青年組織に加わりました。他の若者たちに 自分と同じ経験をさせたくないという想いから、社会の不正に異を唱え始めたのです。これを機に私は世界を変えたいという想いに駆られ、さらに 多くの団体に加わるようになりました。

活動を通して、国内の若者の代表者や参加者が少ないことに気づきまし た。パプアニューギニアの全人口の60%を若者(12〜30歳)が占めてい ることを考えると、若者たちが意見を述べ、彼らにとって重要な議論を推 進するのに必要な場を与えられていません。このことは、残念に思えまし た。それからすぐに私は、若者の参加が少ないのは、「場が少ない」とい う問題に留まらないと気づきました。若者がいるプラットフォームを生かせるように、自信を持たせる必要があったのです。私自身が素晴らしいロー ルモデルたちに導かれ、信じてもらい、力を与えられたように、まわりの 若者たちを力づける責任があると感じました。こうして、国中の学校や 教会、コミュニティで若者たちとともに活動を始めました。この旅は9年以上が経ち、今も続いています。 光栄なことに、研修やスクールキャンプ、1 週間にわたるワークショップを通して、さまざまな若者たちと出会えました。彼らの多くが自分の夢 や意見に真剣に耳を傾けてもらえないと感じているので、何よりもまず話 を聞き、力づけています。多くの若者が、目を輝かせ、自信に満ち、社会 に貢献できることを見つけ、別人のようになって帰っていきます。

今の私の誇りと喜びは、かつてともに活動した若者たちがイベントで脚 光を浴び、リーダーとして自分の信念のために立ち上がる姿を目にするこ とです。私はもう場の最年少者ではありませんし、今ではずっと多くの若 者が活躍しています。しかし、さらに多くの若者が活躍できるし、そうあ るべきです。かつて私は力を与えてもらったから、力を与えることができます。このサイクルが続いていくことを夢見ています。 私自身や、ともに活動できたすべての若者を通じて。

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